「タランティーノという体験」レザボア・ドッグス うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
タランティーノという体験
初めて見た時は衝撃でしばらく席を立てなかったほど。
タランティーノという「体験」がなかったので、その強烈なバイオレンス描写にやられました。痛みが伝わってくる演出のうまさと、時系列を逆転して語るストーリーは、おしゃべりが多いセリフ劇の特徴と共鳴し、まるで誰かの事件を話し言葉で聴いているような不思議な体験でした。
そして音楽のチョイスも独特で、映画音楽と言えばオーケストラという定石を覆したのも、この映画がきっかけだった気がします。
当時無名だった俳優を中心に起用し、限定された舞台と、黒ずくめの衣装で、今見ても古臭くならないのもいいですね。
『ヘイトフル・エイト』は、ずいぶん長くて、キャストも一流俳優ばかり。でも、根っこにあるものはこの映画と同じです。密室空間で、限られた人数で、仲間の中に裏切り者がいるという、いわば、『レザボアドッグス』をリメイクしたようなもの。でも、全然この映画の素晴らしさを超えられませんでしたね。
デビュー作にして最高傑作と言いたいところ、『パルプフィクション』『ジャンゴ』『イングロリアス・バスターズ』なんて、それぞれ傑作だと思うので、どれも同じくらい好きな映画です。
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