「栄光と転落」レイジング・ブル いたかわさんの映画レビュー(感想・評価)
栄光と転落
スコセッシ監督作品の中では、グッドフェローズやウルフオブウォールストリート、最近ではアイリッシュマン等と同じ、ある男の栄光と転落を描いた作品。
そして、デニーロ、ペシ、スコセッシの黄金トリオが誕生した作品でもある。
でも他の作品と比べて案外淡白、のし上がっていく過程に痛快さなんてものはない。寧ろ主人公への不快感が増す。なんといっても猜疑心が強すぎる、暴力的。破滅が待っているのが言うまでもなく分かる。
退屈だなと感じたし、もっとボクサー時代に盛り上がる熱い展開があればなぁと思ったけど、それだと他の作品と変わんないってことなんかな?
栄光を手にした人間が引退後、頼れる人もいない状態に哀れみを感じた。八百長した時もそうだが、取り返しのつかないことをして落ちぶれて、初めて自分がどうすべきだったのか気づくのが人間なんだよなとラストで思った。
現役時代あんなに引き締まっていたのに、引退後の肥満体型を表現するために27Kg増量して挑んだロバートデニーロの狂気的な役作りに脱帽する。特殊メイクやCGでええやんとか思うけど、作品の面白さには役者の演技力はもちろん取り組む熱意、思いも大事なんだなと改めて思わされる。今後も役作りで体重の大幅な増減をする人は出続けるんだろうな。
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