「夢の中では何でも出来る ルイーズ・ブルックス」ルル・オン・ザ・ブリッジ jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
夢の中では何でも出来る ルイーズ・ブルックス
映画「パンドラの箱」(1929)の 巨匠パプスト監督は
ルイーズ・ブルックスを〈ファムファタル〉に仕立て「心の不思議」ではフロイト理論を解説している
フロイトによると〈夢〉は潜在的願望を充足させるもので、本人の創りだした自己表現(=映画)ということになる
この映画で観客は 危篤のサックス奏者の それを見せられた訳である
彼の印象に残ったセリアとの恋(欲望)
元妻が彼の為にかいがいしく世話をしてくれる(都合いい)
彼も繊細で いい男(美化)
何故か排泄の話も(もらしたのか? 便所の記憶か?)
Dr ヴァン・ホーンが意識に沈み込んだ 彼の聞きたくない事実を掘り起こす…
パンドラ(の箱)やルルといったファムファタルも微妙にからむ
不条理劇とも 捉えられる
「パンドラの箱」の原作者 F・ヴェーデキントは ドイツ不条理劇の先駆者である
(フロイト以前に精神的洞察をしていた)
フロイトの方は 夢には無意識に基づいた統合性はあり 一つの物語として連結している、と言ってる
また、映像にはエロスとタナトスも匂う…
今、私達が経験として感じたこと(潜在意識)は 情報として更に大きな情報の海(集合的無意識)に送信され、共鳴するような情報が波動として戻ってくる、と考えられている
(ユングの集合的無意識)
ラストの切ない場面は その表現だろうか
あの小石は 発信機みたいなものだろうか
潜在意識は 時に本人を救うこともあるらしく、Dr はその役割を果たしていたのか
ウィレム・デフォーの不思議な歌声と存在感にとらわれてしまいました
セリアの部屋の「心」の書が回転して飾られていたことは 日本人としては気になります
それにしても集合的無意識と人工知能のクラウド化って、そっくり!