ルートヴィヒ 完全復元版のレビュー・感想・評価
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神々がたそがれる、訳
「騎士伝説」を愛していながら、戦争に行かない王の苦悩は 我々には伝わり難い
映画はほとんど 室内劇の模様を呈するので(笑)
視覚的にも少々退屈する
外からの訪問者(エリザベート、神父、公爵、大佐など)の叱責と行動が 波紋を起こすのみ
後半 王が不安定になってから、ドラマ性もたかまり 結末へと突入する
「血の同盟」というが ヨーロッパでは上層部
(王や貴族)が 所詮、親戚縁者という意味であろうか
ビスコンティは この王に 血の近さ、血の濃さ、を感じたのだろう…
二人とも 女性よりも、美青年を好むのは(エリザベートは別格、監督にとってのシュナイダーもそう)
この血の濃さへの忌み、もあるのだろうと考える
(弟が錯乱するのは、戦争のせいだけではない… )
神々がたそがれる、訳である
王の嗜好で(監督も) 美男子、美青年が多々 配されている
この映画製作の時点では 男色ということを表現するのに限界があって(しかし、誰が見ても明らか… なのだが)暗示にとどまり、もう一つ 踏み込めなかったことが 前半の王の苦悩の伝わり難さの一因でもあるだろう
バーガーは この難役をよく頑張っている、後半から凄みが出て 感情移入も出来た
しかし、美男子揃いの俳優陣の中で 一番 輝いているのは、女性であるエリザベート役のシュナイダーであろう
得な役柄とはいえ、演技にもめりはりがあり、煌めくように美しい(思わず 目で追ってしまう!)
彼女の登場で 映画も締まり、女優としての成熟が感じられる
ドイツの歴史の知識がもっと有れば、 また違う見方も出来るかもしれないと思う
ちなみに かの国では、この王は「メルヘン王」と呼ばれているらしい
美男子のオンパレードなのも、お花畑を見てるみたい!
孤独な役割 権威、権力、自由とは?
愛を知らない、愛されなかった子どもが王となり権力を手にするが、彼には自分の力をどう使うのかわからない。
王と親族、家臣、取り巻きしか出てこないので社会がどんなところなのか、わからない。
彼はきっとこのような環境で育ち、成人し、王となった。
弟は傷つきながらも戦場に行き、精神を病んでしまう。愛された人と婚約するが、愛する事が出来ないから彼女は傷つき、婚約も破棄する。役割や務めを果たせない自分に苛立つ。芸術のパトロンとしての役割に夢中になるが、うまく利用されてしまう。
人は彼の前には臣下、従僕でしかない。
昔、観た時は美しさ、芸術に孤独を癒す王のイメージだったが、今観ると果てしない孤独、愛のない人生に、魂が凍りついていくのを見ているようだった。
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