ルートヴィヒ 完全復元版のレビュー・感想・評価
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神は細部に宿る
誰が言った言葉だったか、紙は細部に宿る、という言葉。
黒沢監督も好んでいたらしいが。
この映画も隅々にまで妥協のないこだわりがあって、
どの場面を切り取っても一枚の絵画のよう。
4時間の長尺はさすがにもう少しどうにかならなかったのか、とも
思わなくもないのだが、
こだわりにこだわりぬいた結果
これでもかなり削ったものなのだろう。
リアルな貴族、王族の暮らしぶりを拝見したという満足は得られる。
エンタメとして面白いかと聞かれると微妙。
ルートヴィヒが作ったノイエシュタイン城など
芸術は時代を超えて残っていくのだが
哀しいかな、そういう趣向とは裏腹に
彼の在位時代は残ることもなく。
政治というものに向かない人物が即位してしまった悲劇だ。
耽美派腐女子に特にオススメのドイツ歴史絵巻
ビスコンティ監督が制作したオリジナル4時間版のデジタルリマスター版。
主要キャスト3人を始め脇役に至るまで、若者は全員イケメン。女性陣も美人揃い。衣装もセットもロケも豪華で監督のこだわりが満載。特にオットー役のジョン・モルダー・ブラウンの病んでいく演技がよかった。
ストーリーは判明している範囲の史実にほぼ忠実で、豪華な歴史絵巻を見ているような気になれた。
それと、大作曲家ワーグナーが曲は素晴らしいのに本人がいかにカスだったか⁉︎が詳しく描写されているのも興味深かった。
豪華で退廃的な映像美
とにかく映像が優美。
いま、予算をかけて豪華に撮っても出せない美しさがある。
ルートヴィヒが公務に関心を示さなくなっていったあたりからのヘルムート・バーガーが良い。
前半の何をしでかすか分からない危ない感じから、顔も青白く周りが狂気と呼ぶ精神状態に向かってゆく様が見事だった。
耽美的な雰囲気の、ルートヴィヒ2世の髪型に惹かれて観た作品。 日本...
耽美的な雰囲気の、ルートヴィヒ2世の髪型に惹かれて観た作品。
日本では89年のビデオ発売時に「ルードウィヒ 神々の黄昏 復元完全版」のタイトルで特別上映。
おそらくこの時に観たんだろう。
たしかインターバルもあってなかなか難解な作品だなと思って観た記憶が残る。
地位か自由か
庶民は財産もなく不自由な生活で、王侯貴族は派手で自由な印象だが、自由については、有象無象は法律がなければ無制限であり、稀少な存在程、制限され不自由になる。自由度の高い者の発言は軽く、不自由な立場の者の発言は重い。この為に稀少な王侯貴族、俗世なら社長や首相の命令は相当な重さを持つ。神に至れば絶対だが、一部は道徳や常識になっている。
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