リラの門のレビュー・感想・評価
全7件を表示
彼は何故そこまで必死になったのか?
決して裕福とはいえない
貧しい街の住民の人情物語。
その日さえ幸せなら良い。
金はないが心は持ち合わせている。
恋する人の為なら
人助けの為なら
己の身を削る男の話。
彼は何故そこまで必死になったのか?
コソ泥ではあるが、根は善人だった。
ルネ・クレール監督という人は
何でもない時間を提供してくれる
その「何でもない」が素敵だ。
※
今の時代にそぐわない
と思うような筋立てだが
かつて僕が訪れたパリならあり得るかな?
10年ほど前の都内ならあり得るかな?
とふと思い違いをしつつ観てしまった人情映画
こと欧米では階級社会で自分より低いところに
人を置くことで安心するそうだが
低い位置にいても人間であることに変わりはなく
それぞれに個性がある◎
興行的成功云々ばかり追求するばかりでは
産まれない良い映画の一つ。
知れて良かった(^^)
可笑しくて、面白くて、やがて悲しくて、ペーソスがあって、何だか深い 観終わった味わいは寅さんと同じなのです
最近、なにやらパリで「男はつらいよ」のシリーズの全作上映会が人気らしいそうです
へえーそうなんだとびっくりしまよね
ですが、本作を観たなら、そりゃウケるはずだよと思うはずです
観終わった味わいは寅さんと同じなのです
可笑しくて、面白くて、やがて悲しくて、ペーソスがあって、何だか深い
もしかしたら、寅さんは本作を下敷きにしているのかもなんて思いました
寅さんのマドンナなんて完全にマリアです
全くもって何から何まで惚れ惚れするような演出の数々とそのキレ味
流れるようにスマートな語り口
ケチのつけようが有りません
大好きな映画です!
ギター弾き
フォアグラの缶詰か、偶然にも強盗をかくまうことになるまでが、単純ながらも上手く作られている。ビストロの店主がニュースを読み上げるときに、子どもたちのバルビエごっこを映像に入れることも凝っている。
バルビエの世話をし、逃亡の手助けをするあたりは全体的にコメディタッチであるが、ジュジュが生きがいを見出したように生き生きしてくる。酒場のマリア(カレル)の設定は戦後混乱期における自由な女性を象徴しているような存在であり、好感が持てるなぁ。
奇妙な友情の話も素敵ですが、アーティストの弾き語りと子どもを上手く取り入れてることで締まった良作になっているんでしょうね。ラストをもっと丁寧に描いていたらもっと良かった。
信じて疑わないピュアな人々と身勝手で傲慢な人間の対比を浮き彫りにし...
信じて疑わないピュアな人々と身勝手で傲慢な人間の対比を浮き彫りにしながらユーモアと音楽で包みながら展開していく。切ないが思いやり溢れる美しい作品だった。
お金持ちになったらフォアグラを君に
フランスの下町リラの、さらに小さな街角だけで繰り広げられる悲喜劇。
職無し金無し人情有り。ろくでなしのお人好しジュジュとその親友芸術家の元に突然逃げ込んできた指名手配犯ピエール。
とんでもないハプニングに対応するうちにだんだん湧いて出てくる友情とだんだん変わってくる人間模様をコミカルなタッチで描いた作品。とても面白かった。
60年前の映画などあまり観る機会もないのでちゃんと楽しめるか不安だったけど、そんな心配はご無用。
冒頭から引き込まれてしまった。
男声シャンソンに乗せ、初っ端からロクデナシ感を存分に発揮してくれるジュジュの行動に心掴まれる。
さてこれからどんなことが起こるのかしら、とワクワク。
一つ一つのアクションや表情がユーモアに溢れていて、たくさん笑わせられた。
フォアグラ缶詰のくだりがもう全部全部好き。
忘れた頃にまたぶり返されると本当たまんない。
年老いた母の超絶強気口調とラジオ体操に余念がないピエールとやんちゃな近所のがきんちょ達も大好き。
地下の扉に落ちちゃうピエールと太ってるから柵が倒れちゃうところは本当コント並みに笑える。
特にやんちゃチルドレンとの絡み方は面白いものが多い。
ジュジュを揶揄うような行動もどこかほっこりするものがあり、家に侵入されるシーンの緊張感と微笑ましさの絶妙なバランスも楽しい。
「バルビエごっこ」に励む彼らに合わせて新聞記事を読むシーンがとても印象的。
人の裏から人が出てきたり歌がシーンにピッタリ合っていたりと、舞台的な演出が多いなと思っていたけど、この読み上げの演出は50年前の作品ながらすごく新鮮でポップに思える。
傷付いた子猫の看病をするように、殺人犯ピエールをかいがいしくお世話する尽くし屋のジュジュとなんだかんだ付き合ってあげる芸術家。
如雨露シャワーがかわいくて好き。
次第に育まれるピエールとの友情のようなものに胸が熱くなるものの、その中身を思い知らされる時のショックたるや。
ドタバタ喜劇がだんだん雲行き怪しくなり、どう決着つけるのかとハラハラしていた先の最後には唖然。
どこからボタンを掛け違えたのか、気付いた時にはもう手遅れ。
自分のことに精一杯で他人なんて顧みていられないくらいで丁度良かったのかも。
自分に甘く他人に甘いジュジュの脇の甘さをまざまざと思い知らされる。観ている私の考えの甘さも。
尽くし尽くしてしまうと人は付け上がる。
恋愛のテクニックじゃないけれど、ちょっと一呼吸置くだけでもだいぶ違ったのかも。
軽い語り口とは裏腹に受難の物語ように思えた。
ツンと尖ったバストラインがとても綺麗なマリアの圧倒的なヒロイン感。
好きになっちゃうしかない小悪魔的な行動も夢中になった時の突っ走り方も、どこか危なげでプリプリして、彼女が画面に現れるたびに目を奪われていた。
メンズもレディースも、リアルタイムの50年代ファッションがあまりにも素敵でずっと悶えていた。
モノクロの映像の中の色とりどりを想像するのが楽しい。
ピエールの派手なスーツはベージュに紫系のチェックだろうとか、マリアのプリーツスカートはマスタード系だったらいいなとか、シルクのスカーフの小紋の色とか、ジュジュは絶対小汚いくすんだ茶色系の上着だろうなとか…。
あーーやっぱりサーキュラースカートが欲しいな。ボウタイブラウスと合わせたい。
猫がめちゃくちゃ可愛かった。
ルネクレールの映画から下町に敷かれる石畳からフランス映画の香りを知...
ルネクレールの映画から下町に敷かれる石畳からフランス映画の香りを知りパリって文化の放つ街だと知りました。リラの門これこそ人生。
全7件を表示