「一工夫すれば説得力が格段に上がるのに、それをしない怠慢」リーサル・ウェポン3 よしさんの映画レビュー(感想・評価)
一工夫すれば説得力が格段に上がるのに、それをしない怠慢
銃火器密売組織に挑む主人公達を描く物語。
人気シリーズの3作品目。
概ね、寸評は前作、前々作と同じです。
この作品単体として、決して面白くないこともないのですが、評価は厳しめです。
理由は「とってつけた」・・・と感じるシーンが多いこと。もっと言えば、上手に「とってつけた」を隠せるのに、隠していないこと。
極端な言い方をすれば「鑑賞者を舐めているの?」と聴きたくなります。
一番の例は、中盤にあるマータフ刑事が息子ニックの友人ダリルを射殺したエピソード。
展開自体は王道なんです。
軽快な展開からの転調。巨大な敵、苦悩する主人公・・・怒りを奮い立たせてからのクライマックス。有り勝ちではありますが、それでもクライマックスを映えさせるとても有効な展開。
でも、適当過ぎて見ていられません。
射殺されたダリル・・・これが、前作、前々作でもしっかりと出演している少年なら、マーカスのショックに共感も出来るます。でも、ほぼ初見。映画冒頭に少しだけ登場させて射殺させて・・・では、寧ろ興ざめの方が強くなります。
少年の父親が葬儀の場でマーカスに伝えた「銃を取り締まってくれ」というセリフも適当過ぎです。自分の息子を殺した男に、そんなセリフが言える父親なんていません。
友人を父に殺されたニックが、あっさりと事実を受け入れ父親を励ますシーンも含めて、人間ではなく記号が演じているようで不愉快にすら感じてしまいます。
オマケに、苦悩するマーカスを主人公リッグスが叱咤激励する大切な場面の前に、リッグスとローナのラブシーンを入れる無神経ぶり。
呆れてしまいます。
無理に息子の友人にする必要はなかったと思います。真面目な少年が違法銃を手に入れてしまい、虐めっ子を思わず射殺。動転して警官にも銃撃してしまいマーカスに射殺される。翌日の「違法銃の蔓延を憂う」新聞のヘッドラインを映せば、より自然に「銃を取り締まってくれ」のセリフが出てくるように思いました。
私的評価は厳しめです。