ラスト・ショーのレビュー・感想・評価
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町を出る者、町から逃げる者、町に残る者
総合:70点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:65点|ビジュアル:60点|音楽:60点 )
娯楽は小さな撞球場と映画館くらいしかない寂れた田舎町は、何かが出来る・誰かになれる可能性の低いし何をしてもすぐにみんなにばれてしまう。そんな町で大人になっていく青年2人の姿を描く。
何かはっきりとした流れがあるわけではない。女と別れて年増女とくっついたり、ちょっとした冒険に出たり、兄貴分の大人の男が突然死したり、田舎町の閉鎖性から抜け出したい親友の女を巡って年増女を疎遠にしながら親友とその女とのいざこざがあったりする。そして親友は従軍のため町を出ていき、親友の金持ちの女もすでに町を出ていた。
一人町に取り残された青年と朝鮮に行く青年の今後はどうなるのか。なんとなく寂しさとやるせなさが残る。でもはっきりとしない展開と今後に中途半端さも残る。
ウィキペディアによると、原作者の自伝的小説が基になっているということらしい。だから町で彼らがつるんだり親友の女が町の外の異世界のような家で裸で泳いだりするのも、似たようなことが実際にあったのだろう。
でもメキシコで何をしたとか、年下の少年がいきなり交通事故で死んでいるとか、物事をはっきりと見せない曖昧な演出が物語の具体性を低くしている。そのためにこちらが受ける印象も浅くなりがちになる。石油業界に入って金を儲けていた親友がいきなり軍隊に入って出征したのは何故だろうかという疑問も残った。映画館が閉館前に最後に上映する映画も突然で、そこに思い入れをこめる場面がその前にないから特別感がない。わざわざの白黒映像も設定の50年代の古臭さは出るが、自分は天然色のほうが当時の時代の色がわかって良いと思う。物語をはっきりさせて現在の演出で再映画化すればもっと面白くなるだろう。
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