ライムライトのレビュー・感想・評価
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●頑固なオヤジの物語。
4.4
今まで観てきたチャップリンの映画と少し違った。チャップリンが歳をとっていたからというのもあるけど、今までにない深妙さがあった。とは言っても、笑えるし最後には泣ける要素もある。
この映画は名言がたくさんあった。よく知られた有名な名言もあるけど、バレリーナを励ますときとか、結構深い名言をよく言っていた。
「生きる意味なんていらない」とか「瞬間を生きろ」とかとても勇気づけられるし、安心する名言がたくさん。
そして1番印象的だったのが「客は個人としてはいい人達だが、集団になると頭のない怪物で、どの方向にも向けられる」という台詞。政治家や広告代理店などから、ぼくたち大衆はしばしば愚かな民としてみられている。それは一体どういうことで、何が問題で、本質は何なのかしばらく考えていたので、この台詞を聞いたとき、とても心に響いた。
とても哲学的で重たいテーマを扱っているにも関わらず十分に笑えて、あれだけ楽しく観られるのだから、チャップリンは本当に天才だと思った。チャップリンが道を歩くだけでそこに世界ができるので、彼はもう芸術家でもあると思う。
男はつらいよ
サイレント時代は表情や動きでしかメッセージが伝えられなかったからだろうか、今と比べトーキー草創期の映画の方が台詞力が強いと思う。
「独裁者」で床屋が演説の最後に語るハンナへの言葉。
本作で語るテリーへの言葉。
今では人生讃歌として人間哲学として語り継がれる名言なのですが、床屋もカルヴェロも純粋に「恋する人を励ましたいっ」という思いから発した言葉だと解釈しています。
好きな人に幸せになってほしいという一心で精一杯笑わせるカルヴェロの姿は、まさに車寅次郎のルーツ!
この映画が無ければ「男はつらいよ」は無かったかもしれませんね。
「街の灯」と並ぶ究極のラブストーリー♪
何度観ても、いくつになっても、涙涙涙なのです。
暖かい光の方へ
「人生に意味はつけなくていい、その瞬間を真摯に生きることが、その人の生を美しく豊かにする」ということを今作から感じ取りました。
SPRING HERE ♪
(春がここに 鳥が鳴く スカンクが這い回り 愛を求めてしっぽを振る・・・)
カルヴェロが見た夢の 愛の歌のシーンが、私のダントツお気に入りです。
二人の恋は春の目覚めのように始まり、生命の清水が樹木の間を流れていくように、少しづつ思いを積み重ね、途切れぬ愛を温めてきました。
それぞれが助けが必要な時に、引きつけ合うように寄り添える二人が慎ましいと思いました。また、テリーの、カルヴェロに語りかける時の、内面から溢れ出る美しさに心奪われました。
幸福と哀愁はいつもセット。生きるということの喜怒哀楽が素直に伝わってくる作品に感動できたことも嬉しい。
この素敵な出会いを契機に、他のチャップリン作品も観てみたいと思いました。
泣きそうですよ、私
挫折の後も人生は続く
総合70点 ( ストーリー:80点|キャスト:70点|演出:60点|ビジュアル:60点|音楽:75点 )
かつては栄光の日々を送った芸人が、身から出た錆で身を持ち崩しどん底生活を送る。彼の山あり谷ありの過去から、若き踊子との出会いから始まる年老いてからの新たな半生を描く。
単純な再生の話でも幸せな話でもない。不幸な境遇を分かち合い支え合うことが出来る二人と、歳をとってからの恋とそれを受け入れられない戸惑いと、過去を捨て栄光を捨てしがない町の芸人として底辺の生活をする。そのような主人公の姿がやるせない。
だが古い映画なので演出も古めで演技が演技っぽいし、舞台の場面はつまらなかったし時間も長くとりすぎだし実際長く感じた。話はいいから現代的な演出で再映画化すれば面白いかも。チャップリン自身の作曲の主題の音楽は良い。
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