「笑いのなかに涙が入り混じり、戦争の悲惨さも見事に描いた喜劇映画としては珠玉の名作ですね。」ライフ・イズ・ビューティフル 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
笑いのなかに涙が入り混じり、戦争の悲惨さも見事に描いた喜劇映画としては珠玉の名作ですね。
『ダウン・バイ・ロー』(1986)、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)などジム・ジャームッシュ監督作の常連ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演を務め、第51回カンヌ国際映画祭で審査員グランプリ、第71回アカデミー賞で主演、作曲、外国語映画賞を受賞した珠玉の名作『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997)が2週間限定のリバイバル上映。
『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997年/117分)
第二次世界大戦前夜、1937年のイタリア。
ユダヤ系イタリア人のグイド(演:ロベルト・ベニーニ)は美しい小学校教師ドーラに一目惚れし、得意のユーモアと当意即妙な猛烈アプローチで、彼女と駆け落ち同然でようやく結婚、愛息ジョズエを授かり幸せな日々を過ごす。
ジョズエに物心が付いた頃、ユダヤ人迫害の嵐がイタリアにも吹き荒れ、叔父、グイド、ジョズエ、そして彼らの後を追ったドーラも強制収容所に連行させる。
ジョズエを怖がらせまいと、グイドは得意の機転を利かせて、「これは戦車の賞品がもらえるゲーム」だと優しい嘘をつく…。
作品はドーラを結ばれるまでの前半パートと、過酷な収容所生活の後半パートに2部構成。
前半はとにかくグイドの陽気で破天荒なドタバタコメディをチャップリン映画のようにこれでもかとくどいほど徹底的に強調。
逆に前半の圧倒的な明るさが、後半の陰鬱な収容所とのより強い対比、濃淡を生み出し、本作をより印象深くさせています。数々の伏線回収も見事です。
最後まで家族を守るため、愛息の前では陽気に振る舞い、嘘を突きとおし、死期が迫る直前まで気丈に陽気に振る舞うグイドの姿は涙なしでは見られません。
笑いのなかに涙が入り混じり、戦争の悲惨さも見事に描いた喜劇映画としては珠玉の名作ですね。