欲望の翼のレビュー・感想・評価
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地上に降りる影
ウォン・カーウァイ監督作品。
売り子のスー(マギー・チャン)が、一時は恋仲になるヨディ(レスリー・チャン)に言われる「夢で会おう」という言葉から、眠れず闇夜を彷徨うこととは対照的に、映像美によりまどろみへ誘われるそんな素晴らしい作品でした。
ヨディが口にする「脚のない鳥は飛び続け、疲れたら風の中で眠り、生涯で1度だけ地上に降りる。それが最後の時」は本当に重要なセリフだ。
本作は、ヨディを中心とした若者の恋愛模様を描いた群像劇である。彼/彼女らは、「愛されたい」「自分のものにしたい」そんな欲望を翼にして恋路を飛行する。その飛行はどこまでも遠く高くいけそうである。しかし地上を見下ろせば、別れや死の影が必然的につき纏っているのである。
マギー・チャンがとにかく好きだし、トニー・レオンの登場には驚いた。
『花様年華』を観直したくなりました。
エモさにじみ出る名作映画
これは結構難解だった。
恋愛の群像劇だが、男性俳優の区別がつかず、人物関係がいまいちわからない。
とはいえ、ウォン・カーウァイの初期代表作で、撮影はクリストファー・ドイル。
映像の雰囲気は、現在のトレンドのエモさにも通じている。
そういう意味でも見てよかった。
流行はおおむね20年周期でめぐるというが、その通りになっている。
流行した映画でも観ていない作品がけっこうある。
そういうものもこれからおさえていきたい。
邦題をつけた人は天才
公開後にリリースされたレンタルビデオ(DVDではなくVHS)で鑑賞して以来、また観たいと思いつつも、レンタルビデオのラインナップになく、そのままになっていました。
冒頭のキザなセリフから、全体を通して昔のネガフィルムの様にグリーン掛かった映像まで、ものすごく印象に残っていましたが、ストーリーがどうなったのかは頭から飛んでしまっていました。
今回たまたまamazonプライムを見ていたら、ラインナップに追加されていたので、数十年振りの再観賞となりました。
それぞれの登場人物がそれぞれに悩みを抱えながらすれ違っていくストーリーには、改めて感銘を受けました。
それに加えて、欲望の翼という邦題をつけた人は天才だと思います。現代の阿飛正傳というのは意味が判らないのは当然として、英題のDays of Being Wildというのもごく普通な感じで、それのどこからこの邦題を思いついたのは奇跡だと思います。
この台詞、どこかで使いたいなぁ
香港のウォン・カーワイ監督の名を一気に世界に知らしめた作品が4Kリマスターで劇場上映です。
別れた男を忘れられない女、どんな女にも満たされない男、と話に新味はないのですが、それを思いっきりカッコ付けた演出と映像、一歩間違えば臭くなる台詞で描き切る制作側の熱にいつしか遣られてしまいました。
「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない」
無茶苦茶カッコ付けた言葉だけれど、「くぅ~、これ、どこかで使いたいなぁ」などといい歳したジイサンもメモにペンを走らせるのでした。
このネットリ・コッテリ感が後の『花様年華』に繋がって行くのかなぁ。(2024/1/6 鑑賞)
本作品からスタイリッシュな映像美に激変
欲望の翼』(1990)
本作品でキャメラマンとしてクリストファー・ドイルが参加。
スタイリッシュな映像美に激変しましたね。
独特の緑を基調とした世界観、音楽の選曲も抜群に良いですね。
ここから一気に『恋する惑星』(1994)『天使の涙』(1995)でブレイクしますが、そのブレイクスルーは本作品ですね。
ブルース
90年の映画だから当たり前だがレトロで渋い!髪型も。服装は80年代で、アジアだから当時の日本より更にレトロだよね。モテる男と泣かされる女のドラマ。
こーいう男性ってモテるんだよね。
最後、酔った主人公と出ていた俳優は何て言う名前なんだろ。イケメンだったな。
レスリー・チャン!
ウォン・カーウァイが香港映画の枠を超えて世界から注目されるきっかけとなった作品を初見。
キザなセリフとモノローグの恋愛映画から、後半はフィルムノワール色が強まる。緑がかって、湿気を帯びたカメラ。ラテン調の音楽。長回しで濃密に迫りつつ、バサッと画面転換。確かにウォン・カーウァイ独自の持ち味が発揮されている。
しかし、何と言ってもこの作品の魅力は、レスリー・チャン!彼がいなかったら映像作品として成立しないと思えるほど。女性二人がなぜあれほど惚れ込むのかというのも、レスリー・チャンのあの眼差しで見つめられたから、としか言いようがない。
ところで、トニー・レオンが出てこないなと思ったら、突然の出現。本来は2部構成にしたかったそうだが、時間と予算の都合でこうなったとのこと。ただ、今作でのアンディ・ラウの役柄が、「恋する惑星」のトニー・レオンに繋がっていると考えると、面白い。
60年代の香港 哀愁に彩られた群像劇
いま映画館で、この監督を上映してるので、気になって配信で観ました。
初めて、この監督を観たんだけど、評価が高いだけあって良かった。
独特の映像美や空気感がありますね。
好みで、あります。
主軸はロマンスなんだけど、主人公がゴロツキでアウトローで、ノワール映画っぽい。
欲望の翼
花様年華
2046
と、シリーズ3部作らしいので順番に観ようと最初に観ました。
この映画は一部が続編に引き継がれると聞きましたが、今作の登場人物が続編にも出てるので観た方がいいと思います。
3部作の中では、1番ノワール映画っぽい。
緑
ウォン・カーウァイ4Kを観た後に、ずっと気になっていました。
コロナに感染し、自宅療養となったため、ネトフリで鑑賞。
うーん、ストーリー自体は特筆すべきことはないのかな。
でも、熱帯雨林の雰囲気で、しかも色使いが緑色なのは良かったです。
【”君との一分を忘れない・・。”死ぬまで欲望のままに飛ぶ、屈託した想いを抱える男を軸にした、スタイリッシュで虚無感が漂う、異色の香港青春映画。】
■実の母を知らず、心が通じない義母と暮らす屈託した想いを心に抱えて生きる男・ヨディ(レスリー・チャン)。
彼はサッカー場で働くスー(マギー・チャン)と恋仲になるが、堅実な関係を望む彼女の気持ちに応えられない。
一方、別れてもヨディを忘れられないスー。
夜間巡回中の警官・タイド(アンディ・ラウ)は、そんな彼女に徐々に想いを寄せていく。
◆感想
・全体的に、虚無感が漂う映画である。だが、その雰囲気の中に流れるラテンミュージックが印象的である。
・屈託した想いを心に抱えて生きる男・ヨディは、”一分は、短いが長い・・”等と、スーに声を掛け、あっと言う間に、彼女の心を惹きつけるシーンなどは、気障と言っても良い程である。
・ヨディは、スーと結婚する気などサラサラなく、別の女ミミ(カリーナ・ラウ)とも遊び半分で、付き合い始める。
<今作は、ウォン・カーウァイ監督のスタイリッシュ且つスノビズムが横溢している作品である。(ヨディが実の母に会いに行き、会って貰えず振り返りもせずに歩き去るシーンなど。)
ストーリー展開は粗い。
だが、不思議な魅力を湛える作品である。
ラスト、トニー・レオンが登場し、映画は終わるが、続編を考えていたのかな・・。
故レスリー・チャン、カリーナ・ラウ、マギー・チャン、ジャッキー・チュン、トニー・レオン、アンディ・ラウという、香港のスター勢揃いの作品でもある。>
プチストーカーだらけ
ストーリー:金持ちの養母に育てられた青年は寂しげな雰囲気もあってやけにもてる。女を取っ替え引っ替え。養母の愛憎を振り切り実の親を探したい。
どうにもこうにも陰鬱でついてゆけない。見る人見る日の体調によって受け止め方は違うかもしれないが、とにかくもう私には無理です。
明るい女が出てくるとほっとする。
今週の気付いた事:水の使い方が下手な映画
うら寂しい雰囲気が漂う卑屈な主人公と女性たち
花様年華のマギー・チャン、トニー・レオンが出演しているとあって見てみた。ストーリーとしては何かを抱え身勝手な主人公(レスリー・チャン)と、彼を愛する二人の女性の話であるが、主人公の生みの母捜しの段階から違う様相を呈してくる。
私には前半の恋愛映画としては、夜かビルの中、雨で、うら寂しい雰囲気が漂い、とても卑屈でこじれた感がある。女性たちの愛する気持ちは、どこから来るのか。それが伝わってこなかった。私には女性たちも現実を見てこの男と早くケリをつければいいのにと思ってしましました。
私の好きなラテン音楽がところどころで挿入され、主人公が一人ステップするシーンが良かったが、それ以上のものでなかったのが残念。男女で踊るわけではない。
後半の展開もそれほどのものではなかった。
Netflix
届かない思いばかり。 届かないと判っていても、諦めずに思い続けられ...
届かない思いばかり。
届かないと判っていても、諦めずに思い続けられるのは若さなのか。
惨めで、苦しくて、強い言葉で感情をぶつけあう。
そして縋り続ける。
それは残酷だ。
ヨディがたった一つだけ心から願い続けた思い。
その思いもまた純粋で残酷。
オープニングからクソが付く程の気障な台詞に苦々しく思いながらも、引き込まれていくウォン・カーウァイの世界。
他人を突き放し、残酷で我が儘な様でも、人は皆どこかで優しい。
憎めなくて、愛おしくなる。
亜熱帯の湿度の高い映像、ラテン音楽、60年代の空気、それらが調和した美しさ。
超超余談ですが、若い頃のマギー・チャンが出会った頃の妻にそっくりで。
この映画を観て2年後に妻と出会い、確かに似ているとは思っていたけれど、改めて観てちょっと驚いて。
それで、尚更当時の思いを重ねてしまったという、超超余談です。
脚のない鳥
BBCが2016年に企画した「21世紀の偉大な映画ベスト100」の2位に花様年華が入っていた。(1位がマルホランドドライブ、3位がゼアウィルビーブラッド)。名画100選のようなモノはよくあるし、たいてい定石に鼻白むだけだが、この選は、2000年以降の縛りに加えて、世界じゅうの映画批評家が選んでいることから、他にはない固有性があって、興味深いものだった。
個人てきには、ウォンカーウェイを、すごく好きなわけじゃない。
おそらく若いころは、もっと寄せていたと思うが、大人になり、歳をとると、様式ある表現方法に、まどろっこしさを感じるようになる。
わたしは、若いころは、フェリーニもタルコフスキーもアントニオーニもヴィスコンティもゴダールも、そのほか多数の巨匠を、興味をもって楽しく見たが、歳を食ったらもうアベンジャーズのほうが楽しい──わけである。
ただ欲望の翼は、若いころに見て、明解に覚えている。覚えている理由は、エピローグ直前の列車内の会話。レスリーチャンとアンディラウが話している。チャンが脚のない鳥の話をしようとすると、ラウがそれをさえぎって「知ってるさ、女には受ける話だろうよ、おまえが脚のない鳥のつもりか?おまえなんかただのゴミさ、なにが鳥だよ、鳥ならどっかへ飛んでけよ、さあいけよ早く」と言うのである。
要するに、映画内で、抒情というかポエムに落とそうとして、それを映画内で否定するわけ。
この局で、脚のない鳥のエピソードがさえぎられずに話されていたら、欲望の翼は凡庸に終わっていた、と思う。
映画のなかで、主人公が、印象的なことをモノローグ風に語ることがあります。数多の日本映画もそれが好きです。
そんなときのセリフは「脚のない鳥」のように象徴的で、現実的ではなくて、実用的でもなくて、ただ単に映画内のカッコいいセリフとして、ポエムのような位置づけになっているものです。
そんな主人公のセリフを「なに言ってんだ、アホかおまえ」と全否定している映画を、探してみてください。
わたしはこれ以外に見つけてません。
みどり!
なにかのこだわりなのか、全編みどり色だ。ライトも小物も、フェンスも。かえって気を取られてしまい、のめり込めなかった。
作品全体に漂う雰囲気はとても良いが、深いストーリーがあるようには思えない。アーティスティックに作ろうと意識しすぎていやしないだろうか。
存在の、耐えなければならない悲しさ
レスリー・チャンは不思議な魅力がある人なんだと思った(今さらですみません。私、本当に知らなかったんです)。いろんな顔と表情と体の動きをしてそれが全てその人でしかないような人。一人でしなやかにダンスしている場面は私を「ブエノスアイレス」に連れて行ってくれた。
最後、トニーが居る空間には「天使の涙」の空気が漂っていた。デスク周りは新聞社みたいで、トニーが鏡を見て髪を櫛で撫でつけるシーン(とても色気があって素敵…)は白シャツにタイであることも相まって「花様年華」の雰囲気だった。
水が好きだから、雷の音や大雨がとても良くていつまでも雨音を聞いていたかった。雨の中のアンディをずっと見ていたかった。最初と最後のフィリピンの密林の映像は湿度たっぷりのカーウァイ・グリーン。その中に埋もれて夢で会いましょう。
ミミが着ているワンピース、全部かわいかった。美しいデコルテ、腰のくびれ、きれいに湾曲した背中の線、すんなりした脚の形、ちょうどよい肉感。そしてマギー・チャンはその佇まいのままでチャーミング。60年代の女の子達の雰囲気、いいな。
アンディは耳の形ですぐわかった。アンディもレスリー・チャンも骨格がしっかりしていて、肩幅があって背中が美しく湾曲していて「洋服」がとても似合う体型なんだと思った。でも決してごつくなくてしなやか。
この映画の雨の匂いと湿度にやられてしまいました。今日も猛暑の日だったからかな?
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