「期待度◎鑑賞後の満足度◎ 『欲望の翼』という邦題も悪くないけれど、原題の『阿飛正傳』(フェイちゃんの物語)の方が内容からしてピンとくるし本作への理解が深まった。」欲望の翼 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 『欲望の翼』という邦題も悪くないけれど、原題の『阿飛正傳』(フェイちゃんの物語)の方が内容からしてピンとくるし本作への理解が深まった。
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①その斬新で美しい映像にぶっ飛んだ『ブエノスアイレス』、斬新なカメラワークと語り口の妙に魅せられた『恋する惑星』に比べ、映画としておとなしい印象を受けましたが、ウォン・カーウァイ監督の長編2作目ということを知って納得。
②一言で言い表すと、自分が貰われ子だと知ってから育ての母との関係も上手く行かず、人生への不満を女性たちとの関係で憂さばらししている1960年代の香港のお坊ちゃんのお話です。
③彼を中心にした若い男女のすれ違う愛憎模様が描かれるわけですが、そこはワン・カーウァイ監督、凝った構成と語り口、カメラワークでただの若者愛憎群像劇にはしていません。
④経済的には問題がないのに(から?)自堕落な生活を送るレスリー・チャン。
男としてはその生活ぶりには共感出来ないキャラクターながら、女性には容姿も併せ魅力的なようで、お堅いマギー・チャンの一度好きになってしまったら忘れようにも忘れられないヒリヒリするような未練の感情表現。
どうしてそこまで執着するのか分からないほどカリーナ・ラウの激しい愛憎表現。
⑤マギー・チャンのエピソードで一瞬だけ顔を会わせたアンディ・ラウとフィリピンで再会し同行することになるという件は少しあざといと言うか出来すぎの感はしました。
次作の『恋する惑星』では同じ様なシチュエーションを扱いながら全くあざとさを感じなかったのは、それだけウォン監督の演出力が上がったお陰でしょう。
⑥若者群像の陰で描かれるレスリー・チャンの義母の金で若い男を繋がずには生きていけない中年女の悲哀も忘れ難い。
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