「1960年代香港へのレクイエム」欲望の翼 SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
1960年代香港へのレクイエム
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母さんと二人でとても幸せだったのに!
ある日、母親が、自分はお金をもらって主人公を養育していたのであって、本当の母親は言えないが別にいると言われて主人公は傷つき、生活は荒れる。普通は働いて自活する年頃だが、彼にとってはそれからが反抗期だったような。
町で軽く声をかけた女性を家に入れて同棲するが、心の中は荒んでいる。育ての母は自分を香港に残してアメリカに移住する。本当の母親に会いたいと治安の悪いフィリピンに行くも育ての母の言った通り、実の母親には会えず、トラブルに遭ってしまう。
彼を愛してくれる女性達はいたのに、脚のない鳥(極楽鳥)のように、死んでしまうまでどこにもその翼を休めることはなかった。最期に、自分は飛ぶ前に死んでたんだ、と呟いて逝ったのが哀感を誘った。
主人公が香港そのものに思えなくもない…。
見る者の想像をかきたてる、詩のような作品。
レスリー・チャンはこの役にハマっていた。
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