劇場公開日 1952年5月22日

「マーロン・ブランドはカッコ良いが、ビビアン・リーが悲しすぎる」欲望という名の電車 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マーロン・ブランドはカッコ良いが、ビビアン・リーが悲しすぎる

2021年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

汗をかいたTシャツ姿で登場の若きマーロン・ブランドには、かなり圧倒された。少しカッコつけすぎとも思ったが、それでも元不良少年ぽいカッコ良さが滴り落ちる感が有った。

ビビアン・リーにはどうしても誇り高く美しく、そして強かった風とともに去りぬのスカーレット・オハラが重なってしまう。それだけに、彼女演ずるヒロインの顚落の悲惨さに居た堪れず、悲しくなってしまう。最後、彼女は精神崩壊してしまう訳だが、彼女自身にとっては苦しみからの救済ということなのか?!

名作エデンの東のエリア・カザン監督が、この映画で何を描きたかったかは、今ひとつ自分には判然としなかった。上流階級のビビアン・リーはどうして下層階級マーロン・ブランドにここまで凌辱されなきゃいけないのか?富豪の娘が夫と死別し、教師だったのが娼婦の様に生きることは、そんなに悪なのか?ヒロイン像が、溝口健二の西鶴一代女と重なって驚いてしまったが、こちらの方にはマグダラのマリア的への様な讃美的色あいが皆無なのは、何故なのか?

最後、義姉の精神を壊したのに、マーロン・ブランドは罪の意識も持たず、相変わらず博打に明け暮れている様であった。人間の原罪というか、変わらない悪、信仰無き罪深さを彼が体現している?!それとも、良くも悪くもこれが象徴的アメリカ人で、アメリカ社会そのものといっているのか?

Kazu Ann