指輪物語のレビュー・感想・評価
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設定は完璧。もっと評価されていい作品
感想
ラルフバクシ監督、ソウルゼインツ制作1979年公開当時の日比谷みゆき座鑑賞だったと思う。
学生の頃原作は読んでいた。ある程度の世界観は把握していた。
ディズニープロダクション、スタンリーキューブリック「2001年宇宙の旅」、ジョンブアマン「未来惑星ザルドス」。
1950年代から60年代にかけて多くの著名な映画制作者たちが、映像化を検討するも費用面等で途中挫折。映画化は無理とされていた話は有名。
ロトスコーピング映像の先駆者バクシと、映画化の権利を所有していた、『カッコーの巣の上で」で制作のゼインツがタッグを組みアニメーションで映画化を試みた。
原作の知名度が高いため、映画の日本公開の約2年程前から、メディアに度々情報が出ていて、プロダクションデザイン画は出てきたものの、芸術性が極めて高く、本当に動画になるのか?という疑問や期待が方々(評論家等)から出ていた。
当時学生であった自分も素人ながら、素晴らしい絵に感動したが、完全映像化は不可能なのではないかと感じた。
期待して完成した本編を鑑賞したが、話の端折りすぎでまとまらず。残念ながら、支離滅裂な展開に。映像も後半、粗が所々目立ったものに。それでも所々、後の実写版にも生かされた場面あり。不可能と言われた映画制作に挑戦、完成させた事を評価して🌟3つ。
25年後、実写版三部作を制作し、アカデミーの栄誉にあずかったピータージャクソンが高校生の頃にこの映画を見て感動。後、最初著作権で対立していたラルフバクシと交渉、ソールゼインツを通じてある程度の了承を得てロードオブザリングにオマージュを入れたという話があったが、実写版「ロードオブザリング旅の仲間」初見時のの印象は、ほぼ完全に同じキャラクターデザイン、カメラアングル、場面構成、特に躍る子馬亭のブラックライダー襲撃シーンなど、バクシの絵コンテとほぼ同じ場面が多数あり、完璧に近い実写化がされていてすごく感動した。
以上の事を思うと指輪物語の優れた芸術性、諸設定が評価されるとして
⭐️4.5に。
音楽はレナードローゼンマン。
代表作「エデンの東」「スタートレックⅣ」。メインテーマはフルオーケストラ編成の重厚な素晴らしい佳曲。曲を聴くとわくわくした冒険心が溢れてくる。
公開当時、手塚治虫先生はこの映画を絶賛。『火の
鳥2772」のスペースシャーク発進のシーンにロトスコーピング撮影を導入している。宮崎駿先生はこの映画は認めていないとのこと。アニメーションに対する考え方の違いがある事を感じた。
いずれにせよ、作品の表現方法の評価は観る者の視点、解釈の違いにより大きく変わる。
バクシの指輪物語で生み出されたアニメーションの素となる原画やデザイン画、さらに音楽は物語に素晴らしく合っていて、後の実写作品群の一連のイメージを決定付ける優れたものであった。脚本の構成と諸事情(製作資金不足)によりロトスコーピング方式で作られたこの作品の質は残念ながら当時は低評価された。
しかし、バクシとゼインツの実現不可能と言われた作品実現へのチャレンジはもっと評価されても良いと思う。
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