劇場公開日 1979年7月14日

指輪物語のレビュー・感想・評価

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4.5壮大な物語の本当のはじまり

2023年11月10日
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鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

萌える

ラルフバクシ監督
ソウルゼインツ制作1979年公開
当時の日比谷みゆき座鑑賞
だったと思う。

学生の頃原作は読んでいた。
ある程度の世界観は把握。

ディズニープロダクション
スタンリークーブリック「2001年宇宙の旅」
ジョンブアマン「未来惑星ザルドス」

1950年代から60年代にかけて
多くの著名な映画制作者たちが、
映像化を検討するも費用面等で途中挫折。
映画化は無理とされていた話は有名。

ロトスコーピングの先駆者バクシと
「カッコーの巣の上で」のゼインツがタッグを
組みアニメーションで映画化を試みた。

原作の知名度が高いため、
映画の日本公開の約2年程前から、
メディアに度々情報が出ていて、
プロダクションデザイン画は
出てきたものの芸術性が極めて高く、
本当に動画になるのか。
という疑問や期待が方々(評論家等)
から出ていた。
当時学生であった自分も素人ながら、
素晴らしい絵に感動したが、
完全映像化は不可能なのではないかと
感じた。

期待して完成した本編を鑑賞したが、
話の端折りすぎでまとまらず。
残念ながら、支離滅裂な展開に。
映像も後半、粗が所々目立ったものに。
それでも所々、実写版にも生かされた
場面あり。
不可能と言われた映画制作に挑戦、
完成させた事を評価して星3つ。

25年後、実写版三部作を制作し、アカデミーの
栄誉にあずかったピータージャクソンが高校生の頃にこの映画を見て感動。後、最初著作権で対立していたラルフバクシと交渉、ソールゼインツを通じてある程度の了承を得てロードオブザリングにオマージュを入れたという話があったが、

実写版「ロードオブザリング旅の仲間」初見時の最初の印象は、ほぼ完全なキャラクターデザイン、カメラアングル、場面構成、特に躍る子馬亭のブラックライダー襲撃シーンなどバクシの絵コンテとほぼ同じ場面が多数あり完璧に実写化されていてすごく感動した。

以上の事を思うと指輪物語の
優れた芸術性が評価されたとして星4.5に。

音楽はレナードローゼンマン
代表作「エデンの東」「スタートレックⅣ」
メインテーマは
フルオーケストラ編成の重厚な素晴らしい
佳曲。曲を聴くとわくわくした冒険心が
溢れてきた。あの頃が懐かしい。

メインテーマの最初のフレーズなどは
ロードオブザリングのハワードショア
も参考にしたのでは。
まあ、ローゼンマンは本来、
現代音楽風旋律を得意とし、
テーマ曲のみ古典主義風で
わかりやすい曲調にする事を
好んだ。

白雪姫にも使われたロトスコーピング撮影。
費用に行き詰まったか、たしかに粗が目立った。
とくにガラドリエルのシーンなど、実写の顔が
透けていたりするのだが、それはそれで味があ
った気がする。結果としてアニメーションでは
なくなってしまっているのだが。

公開当時、手塚治虫先生はこの映画を絶賛。
「火の鳥2772」のスペースシャーク発進
のシーンにロトスコーピング撮影を導入
している。

宮崎駿先生はこの映画は認めていない
とのこと。
アニメーションに対する考え方の違いが
ある事を感じた。

いずれにせよ、作品の表現方法は観る者の
視点、解釈の違いにより大きく変わる。

バクシの指輪物語で生み出された
アニメーションの素となる原画やデザイン画、
さらに音楽は物語に素晴らしく合っていて、
後の実写作品群の一連イメージを決定付ける
優れたものであった。

脚本の構成と諸事情(製作資金不足)により
ロトスコーピング方式で作られたこの作品の
質は残念ながら低下したように評価された。

しかし、バクシとゼインツの実現不可能と
言われた作品実現へのチャレンジは
もっと評価されても良いのではないか。

後に作られる事になるジャクソンの
ロードオブザリング三部作の美術デザインや
キャラクター設定、場面構成にかなり影響を
与えていて、実写版のクオリティを
上げた事は間違いないと思っている。

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