「テーマとキャスティングのズレが…」夕陽に向って走れ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
テーマとキャスティングのズレが…
観るべき映画とは意識していなかったが、
ネイティブアメリカンの問題を扱った作品
と知って初鑑賞。
この作品は、基本的には先住民の男性と
女性の保護区監督官の物語だ。
だから、ロバート・レッドフォードと
キャサリン・ロスの二人の主演扱いの
キャスティングには大いに違和感がある。
レッドフォードの役は
視野の狭いレベルの保安官補で、
愛欲に付け込んで女性を見下して接する
横柄な人物だ。
また、キャサリンの役は
先住民男性の添え物的人物像だし、
彼を助けようとしたかの
最後の逢瀬の後の自死も
演出的な唐突感が拭えない。
しかも、その想いも生かされることもなく
彼は亡くなってしまうが、
このストーリー上の違和感には
先住民の悲惨を描こうとした
安易な手法としか感じられない。
そして、保安官補が先住民の男性を倒して、
何故か何かをつかんだかのような
ラストの描写には、
何の伏線もなくこれも唐突感を禁じ得ない。
この作品、レッドフォードのネームバリュー
と彼の代表作の一つ「明日に向かって撃て」の
タイトルにあやかって
日本でもヒットさせようとしたのだろうが、
レッドフォードを保安官補に据えたことから
主題がズレてしまい、
本来描くべきテーマを見失って
失敗した作品なのかなと思ってしまった。
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