「トリュフォーの告白映画」野性の少年 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
トリュフォーの告白映画
「トリュフォーの思春期」を観れば、子供たちに注ぐ作家の視点がいかに愛情深く無垢であるか分かるだろう。デビュー作「大人は判ってくれない」でも、人形劇に夢中な子供たちのシーンが素晴らしかった。そんなトリュフォー監督の自作自演の「野性の少年」は地味な存在で、あまり話題にならない。自身の恵まれなかった子供時代への回顧と後悔、また幼少期に捧げる大人の責任など、”アヴェロンの野生児”を題材にその葛藤を自己表現している。トリュフォー監督の物静かな願いが込められ、18世紀末の時代色を出したモノクロ映像が普遍的なテーマとして浮かび上がる。アーサー・ペンの「奇跡の人」と併せて鑑賞したい映画。
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