「夜行列車に乗り合わせた人たちの人生が凝縮された人間絵図」夜行列車(1959) Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
夜行列車に乗り合わせた人たちの人生が凝縮された人間絵図
「尼僧ヨアンナ」のイェジー・カヴァレロヴィチの代表作。中学時代にテレビで観て感激した映画を漸く劇場で鑑賞する。ある夜行列車に乗り合わせた人たちの人生の苦しみを見詰めた人間絵図。物語の結末がない最後、女主人公がひとり取り残されるラストシーン。ファーストシーンと殺人犯が群衆に取り囲まれるシーンの俯瞰ショットがいい。アンジェイ・ワイダと並ぶポーランド映画のカヴァレロヴィチの地味なこの映画が好き。ストーリーを楽しむ作品ではなく、映像に表現された人間の生きる虚しさを感じる映画。「灰とダイヤモンド」のズビグニエフ・チブルスキーが出演している。その「灰とダイヤモンド」も中学時代に日曜洋画劇場で観たが、こちらの映画程は感動しなかった。
1981年 6月3日 池袋文芸坐
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