「ナチスドイツに利用された俳優の野望を描くも、映画と政治の二律背反に陥る」メフィスト Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
ナチスドイツに利用された俳優の野望を描くも、映画と政治の二律背反に陥る
ナチスが台頭するドイツを舞台に、役者としての野望を成就しようとする男が、結局はファシズムの国家体制内に飲み込まれてしまう悲劇の人生ドラマ。暗い時代の閉塞感を映像化した力作ではあるが、同時期に日本公開された「レッズ」と同じく感心しない。俳優が主人公という題材は個人的嗜好に合致するが、政治が絡むとその分人物の掘り下げが疎かになってしまうことに不満が残る。ハンガリー出身のサボー・イシュトヴァーン監督の演出も個性的ではあるが、独自の輝きには到達していない。
コメントする