無防備都市のレビュー・感想・評価
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不在の余韻
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この映画に登場する人物はことごとく殺されます。しかし、フランチェスコだけは生き残る。というかマンフレーディとドン・ピエトロたちが捉えられたシーン以降登場していません(はず。)それまで数少ない登場人物の中では、ピーナのあの衝撃的なシーンを作り上げた大きな役であるはずなのに、突然姿を消してしまう。改めて考えてみると少し不自然な感じが否めません。しかし、それが却って想像力をかきたてます。仲間が連行されるところを、運良く免れた後の彼がどう振る舞ったのか。あるいは、彼もまた結局は連行される運命にあるのか。
ある人物の存在を突然切り離す。そういったところにもこの映画のドキュメンタリー性を強めている要素があるように思います。
ドキュメンタリー性。そもそもこの映画はフィクションであ流けれども、しかし見る側の人間にとってはほとんどドキュメンタリーのように映ります。物語的なストーリーというよりも、現実的なものを描くことに注力されている。だから、それぞれのシーンはひょっとしたら、多くの人が目撃した現実の再現でしかない。シーンのためのストーリーが準備されたのかもしれません。それだけに映像のインパクトはやはり大きいです。
二人を尋問する場面では、ドイツ軍の人間が戦争を皮肉る発言が何度か登場しますが、これもまた事実だったのでしょう。殺す側の人間が、その行為を疑問に思う。しかしそれでも殺される人々がいたという不条理。
複雑で練られたストーリーを持つ作品だけが傑作として残るわけではない。例えばある一つの事実、あるいはピーナのあのワンシーンが持つ迫真性のために、この作品はこれからも残っていくのだと思います。
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