劇場公開日 1952年11月1日

「プロレタリアートとブルジョアジーの対立を止揚する神の奇蹟なのです」ミラノの奇蹟 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0プロレタリアートとブルジョアジーの対立を止揚する神の奇蹟なのです

2021年10月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

1951年のカンヌ国際映画祭グランプリ作品

なんだか不思議な映画です
監督のこの作品の前作はかの名作「自転車泥棒」です

幻想的風刺劇のようで、実はこの作品もまたネオレアリズモなのかも知れません

「靴みがき」や「自転車泥棒」のように、重い悲惨な現実をそのまま活写するのではなく、このように童話じみた話にすることでより主題を明確にしていると思います
そこが本作にグランプリをもたらした理由であると思います

掘っ建て小屋とも言えない、ダンボール小屋が御殿のようなバラックの貧民窟
そこの人々の暮らし

かと思えば復興再開発に躍起の金持ち達との対比

最終的には神の救いとなりますが、もちろんそんな事がある訳はないのは誰もが分かっていること

ミラノの奇蹟
そんなことがあってもいいじゃないか
そういう希望なのです

そもそもそも主人公も神が地上に下された赤子であったのです

プロレタリアートとブルジョアジーの対立を止揚する神の奇蹟なのです

貧民を政治利用し、扇動しようとする在り方への平和的な反論に感じられました

名作です

あき240