劇場公開日 1964年8月8日

「正にマンハッタンの人情物語です」マンハッタン物語 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5正にマンハッタンの人情物語です

2019年6月7日
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日本なら昭和38年、1963年のNY
原題はLove with the Proper Stranger
ゆきずりの恋だけど…くらいの意味でしょうか
それがマンハッタン物語という邦題になっています
確かにその通りの内容なんですが、実は監督とプロデューサーのコンビがあの超名作アラバマ物語の次の作品になるからでしょう
見事な命名です
昔の宣伝マンは本当に偉大です

さて内容は売れないバンドマンとデパートガールの恋です
バンドマンというのは洋の東西を問わず、たいていモテますし、女にだらしなく、無神経な言動や行動をするものです

百貨店のお姉さんも、大昔は百貨店は閉店時間がとても早かったので結構遊んでいるお姉さんも多く、デパートガールとバンドマンの恋はとてもあるあるのお話です
そして彼に浮気されてわかれたとか、妊娠してるのに捨てられたとか、結婚したのに別れたとか、そんな話が続きます
ここまでが大抵セットの物語です
本作もほぼそんなお話です

マックイーン36歳、ナタリー・ウッド23歳
ウエストサイド物語の2年後の撮影ですから、町並みはほぼ同じながら、彼女は単なる夢見る乙女から大人の女になっています
現代の女性に通じる自立しようと奮闘している雰囲気を見事に醸し出しています

マックイーンも素の彼の個性に一番近いのでは無いでしょうか
のびのびと演技していてとても魅力的です

彼の父母、昔に別れた元カノで今は友人の妻で悪ガキの前では普通のオカンになっている女性、現在の彼女のバービー、他人の種で妊娠しているのを承知で結婚しようとする料理人、その母と姉妹達
正にマンハッタンの人情物語です
見事な邦題です

ラストシーンは不覚にも泣きました
こんな風に純粋に熱量をも持って、馬鹿になりきれる
それが本当に結婚するという証明なのです

馬鹿になりきってでも求めることができなければ結婚なんてできっこ有りません
そんな風にあなたは求めたことがあるでしょうか?
あなたは求められたことがあるでしょうか?

忘れていたものがこみあげ胸が熱くなりました

あき240