「不条理感」マリア・ブラウンの結婚 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
不条理感
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マリアは、戦中から戦後にかけてのカオスなドイツ、そしてナチスに加担し翻弄された加害者としてのドイツの象徴に見えました。戦争が終わっても、戦争を経験した者とそうでない者とでは、見える景色が全く違います。
女性の経済的自立を描いた作品ではありましたが、その一方で封建的な結婚制度に縛られているとも思いました。夫といってもほぼ一緒に過ごしてないんですよ?特段ハンサムでもなかったしなあ。ただ、一緒に過ごしていないからこそ、相手に対して自分に都合の良い投影ができるし、幻滅もしません。夫という幻のおかげで、マリアは生きられたとも言えます。
マリアの様な強く逞しい生命力のある女性でも、ラストはあっけない。どんなに苦労して生き延びたとしてもガスで終わるこの不条理感。そして戦争もまた、マリアの人生と同じ様に不条理を生み続ける。爆発がマリアの故意にしても事故にしてもどちらにしても儚い。人生最後は必ず「死」にますが、ファスビンダーが描くと美しく潔く煌びやかに感じます。それは、ファスビンダー自身が死に近づきたがっていたからかもしれません。ガスとナチスがまた上手く結びついていました。
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トミーさんのコメント
2023年10月16日
共感&コメントありがとうございます。
オープニング〜爆撃、飛散する書類でいきなり掴まれました。その後、悪意あるクレジット・・ファスビンダーまた観たいです。恐ろしい?「ヴェロニカフォス」どこかでかかりますかね~
talismanさんのコメント
2023年8月21日
ファスビンダーは結婚をすごくテーマにしてますね。私はマリアに加担して見てましたが、加害者としてのドイツの象徴という視点はなかった、はっとしました。