「バイオレンス・アクションというより恐怖映画。」マッドマックス image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
バイオレンス・アクションというより恐怖映画。
このシリーズについては、『怒りのデス・ロード』には心臓を鷲掴みにされるような感じがしたが、過去の3作品についてはずっと昔にテレビの民放での放送を観たぐらいで、それほど印象に残っていなかった…というのが正直なところだったし、『2』への世間の熱狂もなんとなく理解できないでいた。
で、改めて観直してみることになったわけだが…
ストーリーにはなんの捻りもなく単純そのもの。冒頭から不穏な空気が充満し、興奮させるようなバイオレンス・アクションというよりは、エンタメ性を度外視した不安や恐怖を掻き立てる演出が際立っており、シンプルに「怖い映画」だと感じた。まともに見える主人公が、狂気と暴力に落ちていき、復讐を遂げていくプロセスにも、まともな人間が壊れていくプロセスを見ているようで、怖いと感じた。ここまでカタルシスの乏しいアクション映画も珍しいと思う。
恐らく、これが当時画期的だったのは、低俗でただ暴力的なだけのB級以下の題材を、きちんとメジャーのレベルで成立させたが故に、観るものに相当なインパクトを与えることになったから…というところだろう。非常にエンターテイメント性に乏しい作品なので、目の肥えた現代の観客には、ちと厳しい評価になるのも分かる気がする。…が、この作品はこれで終わらない。ここを端緒に、大きく飛躍してゆくのだから。
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