ホワイトハンター ブラックハートのレビュー・感想・評価
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イーストウッドと猿
『アフリカの女王』の結末は好きではないけど、最初から企んでいたことだったんだな~観客に媚びたら負け。映画監督は神である!と。主人公は最後に船の爆破により死んでしまう・・・当該映画を未見の人はネタばらしされて困惑してしまうだろう・・・これもイーストウッド流なのか。
なかなか本題に進まないが、中でも“寝たい”と思った美人がユダヤ人にたいする人種差別主義者であり、その後にホテルのウェイターが黒人差別をしてケンカするエピソードがなんとも言えず、監督の気概を感じて嬉しくなってしまう。脚本家のピート(フェイヒー)がユダヤ人であったためもあるが・・・
それにしても『アフリカの女王』よりはずっと面白い。こんなエピソードがあったのならもう一度見直してみたいものだ。信頼を置めに象に立ち向かいていたコンゴの現地人キブが最後にはハンターであるジョンたちを守るたって死んでしまう。これがかなりショッキング。彼の死によって映画を撮る決意・・・遅いんだけど。
猿と縁のあるイーストウッド。俳優やプロデューサーを迎えるディナーでも猿を抱えていた。
『アフリカの女王』の裏話
総合70点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
主演のハンフリー・ボガートがアカデミー賞を獲得し、監督のジョン・ヒューストンも監督賞の候補に挙がった『アフリカの女王』だが、映画製作そっちのけで象狩りにばかり熱中するジョン・ヒューストンには不満が積もっていたと聞く。この映画は『アフリカの女王』の裏話として、その象狩りにのめり込むヒューストンのことを基にして描いているのだが、無責任でいい加減だけど才能も男気もあって冒険好きで、アフリカ旅行ではしゃぎまわる彼は、いい意味でも悪い意味でも子供のよう。
この監督の出鱈目で思いつくままの行き当たりばったりの行動を描くだけの物語は、実に他愛も無いものに過ぎなくて、普通ならばただくだらないだけでそれがどうしたとなるところ。だけどなんとなくこの作品は嫌いではなかった。もし自分が彼の関係者ならば惨劇だが、そのような描き方は滑稽さと皮肉があって、視聴者として傍観しているぶんならば彼は面白みがある。なんだかんだいってこんなことが許されてしまうというおおらかな時代の映画界も垣間見ることも出来た。もっとも実際の現場はもっとひどかったのだろうし、恐らくたくさんの動物も殺されているのだろうが。
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