「陰のドロン、陽のベルモンド」ボルサリーノ シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
陰のドロン、陽のベルモンド
ベルモンド、ドロンと70年代フランス映画界の二大スターによるフィルムノワールで、なかなか楽しめました。下っ端からマルセイユを支配するまでにのしあがる二人のヤクザの話しで、ファッションや美術など時代色が出ていてなかなかいい感じです。始めは敵対勢力に嫌がらせをする程度が段々とガチの抗争に発展していき、相手も大物になっていくのが面白いです。こう言うお話しだと、無鉄砲キャラがピカイチのベルモンドの出番だけど、相棒のドロンがクールなスタンスなんで、なんか二人が共演したケミストリーがイマイチ感じられないのが痛し痒し。二人をバディにするより敵対関係にした方が、デ・ニーロとパチーノが共演した『ヒート』みたいにそれぞれの持ち味が生きてきたかも。どちらかと言うと前半はベルモンド、後半がドロンにややシフトしていく感じで、プロデューサーがドロンだけに監督さんも相当気を使っている感じです。それでも、一世を風靡した二人が並んでマシンガンをバリバリ撃ちまくるシーンは絵になります。役者ではベルモンドのシーンはいつもののびのびしたキャラで安心できます。何度も出てくるコイントスは、まさに彼らしいエピソードです。ドロンは座長的な立場だけに抑えているようでオーラはどうしても漏れてきてしまうのはツラいところ。
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