「ただ直向きに走る人間の美しさと生命感を記録したイギリス映画の生真面目さ」炎のランナー Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
ただ直向きに走る人間の美しさと生命感を記録したイギリス映画の生真面目さ
1924年のパリオリンピックに足跡を残した選手ふたりの、走る信念を描いたイギリス映画。当時の時代再現が丁寧で素晴らしく、歴史を振り返るドキュメンタリー映画のような側面が強い。スポーツがまだ上流階級の遊戯だった頃の時代背景は、興味深く観れた。人生ドラマの重厚さはさほど無い。それでもふたりの人生の目的の違いは、端的に段階的に描かれている。しかし、この映画の最大の魅力は、ヴァンゲリスの音楽と走る人間のスローモーション映像の神聖さ。このシーンがあることで、大分好印象を与えている。一つのことに全身全霊捧げる人間の直向きな美しさと生命感。それを真面目に描いて悪い訳がない。
1982年 8月17日 みゆき座
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