「傑作ですね」ボディガード(1992) kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作ですね
オープニング、
暗い画面のまま短いセリフと銃声が響き、クライアントを保護しながら銃を構えるケビン・コスナーにフェードインする。
ケビンの正面から一気に画面が後ろに引いて行くと撃たれた敵が倒れている。
主人公を紹介するこのシークェンスは、全く無駄がなく極短時間で主人公の能力を示していて素晴らしい。
ホィットニー・ヒューストンの豪邸をクレーンの移動撮影で見せたり、
マイアミのホテルを空撮で見せたり、
ドローンやCGがない時代だから、なかなか凝っている。
単なるスター映画の域ではないと感じる。
アクションは激しくはないし、敵もそれほど恐ろしさがないが、
敵がストーカーと殺人鬼の二重構造で、観客の意表を突いていて、サスペンスとしては良くできている。
姉が妹への嫉妬から殺人を依頼てしまったといういう件(クダリ)は無理があるが、その事を唯一知っているケビン演じるフランクは、恐らく生涯胸にしまい込んでおくのだろうと、心中を想像させる。
当初は敵愾心があった既存スタッフのボディーガードであるトニーだが、
クライマックスの授賞式会場でマネージャーに「彼はショービジネスの世界がわかっていない。お前が仕切れ」と言われ、「黙れ!」と一括する場面が感動的だ。
敵に一撃で倒されてしまい、片目を失ってしまうのは可哀想だが。
自分が非番だった日にレーガン事件が起きたため、「大事なときに自分がいないことが、怖い」と言うフランク。
三船敏郎の「用心棒」を62回も観ていて、自宅には本身の日本刀を置いている、というストイックな男だ。
一方ホィットニー演じるレイチェルは、スターらしくワガママで横柄だ。
身の危険を知ったとき、身を呈して護ってくれると言う二枚目に惚れないわけがない。
が、意に反してフランクが距離を置こうとすることに苛立ち、当てつけた態度をとる。
実に可愛くない。
この二人のキャラクター設定が、ラブストーリーとしての二人の立ち位置を分かりやすくしている。
ラストのラブシーンは観客の期待を裏切らない。
結局、常に関係をリードするのは女の方なのだ。
男は我慢してストイックに女のアクションを待つのみ。
敵役が元シークレットサービスの同僚なのだから、主人公と同等の能力を持っていて、もっと激しい攻防が繰り広げられても良さそうだ。
が、本作はケビン・コスナーとホィットニー・ヒューストンのダブル主演だから、ホィットニーの歌も聴かせなければならず、汗臭い男の戦いに時間は避けない。
これはこれで良いのだと思う。
近年のアクション映画と比較すると刺激が足りないかもしれないが。
フランクが古巣に脅迫状の分析を依頼する際、儲かっているのかとしきりに訊いてくる元同僚がいた。
最後の別れの空港場面で、後を引き継いだボディーガードがその元同僚だったら笑えたのに。
おはようございます。
寛容なお言葉、有難うございます。
”ベン・ハー”と今作は自宅から車で10分のところにある映画館の”名前の一部に現在大変な状況をもたらしているウイルス名が入ってしまっている”劇場で”ワーナー・ブラザース クラシックス上映”にて鑑賞しました。
一時だけですが(2作で6Hですが・・)、憂鬱な気分が晴れました・・。
では、又。