ポセイドン・アドベンチャー2のレビュー・感想・評価
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幻の(本当の)『ポセイドン・アドベンチャーII』と、合計4つのバージョン!?
ある日突然に状態に、何の前触れも無いように『ポセイドン・アドベンチャー2』が公開される事を知った時には驚いた。 1979年9月なので、既に前作から実に7年も経ってしまっているのに.... それでも兎に角、第1作目のあの感動が忘れられず、見逃すわけには行かない。 一抹の不安を抱えつつも、ロードショー劇場だった新宿ミラノ座へ足を運んだ。 実際に作品を観てまた仰天。 ポスター等で何となくは理解していたものの、メンバーは全く変わって、そこそこ有名俳優たちであるものの、やや旬を過ぎつつある顔ぶれだったりもある、登場人物が一人も引き継がれていない別話だったのだ。 単純に、前作救出された一行とは別行動の別ルートを未だに彷徨っていた乗客連中と、お宝探しに転覆船内の物色を目論んで乗り込んできたサルベージ、そこに船主が密かに輸送させていたという”積荷”を回収にきたテロリストたちとが船内で繰り広げるの3つ巴の葛藤や争奪戦の様相に絡めた人間ドラマが中心で、前作のようなパニック・スペクタクルとサバイバルとその逆境に挑んで生存を賭ける人々の重厚ささえ感じた人間ドラマとの絶妙なバランスは、そこには無かった.... 元々は、『ポセイドン・アドベンチャー』( 1972年版)が公開されて大ヒット作として話題になっていた頃に、プロデューサーのアーウィン・アレンは既に続編の企画を進めていて、 1973年2月の記事によると、当初は1974年のクリスマスに公開することまで予定されていたという事だった。 この段階では、アーネスト・ボーグナイン、レッド・バトンズ、キャロル・リンレイ、ジャック・アルバートソン、パメラ・スー・マーティン、エリック・シーなどの、第1作の生存メンバーから数人の俳優を復帰させる事も想定されていた。 1975年7月の段階では、当時最新の仮題『ポセイドン・アドベンチャーII』で製作されたこの作品はフォックス映画とアレンが新たに結んだ3本の映画製作契約の一部になると報じられ、同社と年間2本の長編映画を監督・製作する契約を結んだが、その後この作品の権利は移り、全く異なる形での完成となったという経緯。 結局、20世紀フォックスから1974年のクリスマスに公開される予定だったこの映画の権利はなぜかワーナーに移り、現在観られる形で1979年の完成となったのである。 実際に、1973年に第1作が公開されて間もなく、プロデューサーのアーウィン・アレンにより、ポセイドン号の親会社の国であるオーストリアで事故の公聴会で生存者が証言するという続編は提案され、その公聴会に向かう列車に乗っているとき、口封じのために船主によって仕掛けられた妨害工作により、1マイルに及ぶ山岳トンネルが崩落して列車の生存者は中に閉じ込められ、脱出に四苦八苦することになるという展開が予定され、当時の日本の映画雑誌にも制作が予定されている『ポセイドン・アドベンチャーII』のあらすじとして紹介されており、その情報を知って、上記のように生存した出演者も続投されるであろう事でとても期待を高めて、早期の公開を切望した思い出がある。 しかしその後、そうした話はいつの間にか立ち消えになり、人々からも忘れ去られていく事となった。 ところがそれがある日突然(と言っていい)、なんの前触れも無いように『ポセイドン・アドベンチャー2』として公開される事を知った時には驚いた。 時は1979年9月、あの感動から実に7年の歳月が経っていた。 更に、『ポセイドン・アドベンチャー』( 1972年版)の原作小説家であるポール・ギャリコ氏による小説版も、”映画版の続編”として映画化を前提とした続編小説の執筆を依頼されており、元の原作小説版では最後に沈没して消えたポセイドン号だったが、映画版の設定から引き継がれた続編として執筆されていたというそれも、そのポール・ギャリコ氏自身が本を完成させないまま1976年7月に出版前に亡くなってしまった。 その、映画化作品と同じ『Beyond the Poseidon Adventure』のタイトルを持つ本は、映画版の公開前の1978年1月になって出版されたものの、その後に作られた映画版と小説版もほとんど似ていないものとなっている。 因みに、ポセイドン号は沈没する代わりに爆発して終わる。 ポール・ギャリコ氏による『ポセイドン・アドベンチャー』( 1972年版)の原作は日本でも早川書房からハード・カヴァーで出版されてベスト・セラーにもなったが、待望の続編である『Beyond the Poseidon Adventure』については早川書房からは発売されず、別の出版社からそのタイトルも全然イメージの繋がらないものが振られ、殆どひっそりと出版されて消えていった。 ポール・ギャリコ氏の遺作になる訳だが、その後は既に話題やブームも過ぎて過去のものとなり、二度と出版(増刷も)される事なく絶版本となっているので、現時点での入手は可成りハードルが高い一冊になっている。 参考までに、公開当時から『ポセイドン・アドベンチャー』に酷似していると言われたシルヴェスター・スタローン主演の1996年作品『デイライト』(Daylight)がある。 そして前述の、本来のこの『ポセイドン・アドベンチャーII』の設定等は、最終的にロブ・コーエン監督、シルベスター・スタローン主演の映画『デイライト』(1996年)に採用されたとされており、先述の指摘も頷けるといったところなのだ。 実は驚くべき事に、先述の1974年のクリスマスに公開される予定だった”本来の続編の姿”こそ、この『デイライト』に観て取れるというのが真相だったのであった...... ここまでで、「当初構想されていたバージョン(=「デイライト」のベースに)」、劇場公開されたバージョン、ポール・ギャリコ氏の原作小説バージョン、で3つという事になる。 では4つ目、更にもう一つのバージョンとは? 実はこの劇場作品の”アメリカTV放映用バージョン”は、「劇場公開バージョンとは別編集」された別バージョン(拡張版)だった事が確認されている。 一時期、アメリカTV放映用拡張バージョンというのが'80年代当時に流行った事があったからである。 1983年にABCネットワークでの放映時に初公開された、劇場公開版に約12分追加した「特別延長版」の『TMP』などがその代表的な例であるが、他にも未確認の、現在視聴不可能なものは結構あるのではないかと考えられるが.....? 少なくとも、同じくアーウィン・アレン氏(製作のみ)による”失敗作”と評されている翌1980年『世界崩壊の序曲(When Time Ran Out)』の、4年以上経ってからのTV放映時に初公開された拡張版『Earth's Final Fury 』バージョンでは、劇場版では未公開の約 40 分の追加映像が含まれていることが知られており、本作と『世界崩壊の序曲』の評価も、この別編集「特別延長版」では違ったものになることで「何で初めからコッチでやらなかったの?」とマニアの間では語られているとか.....?
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