「思いの外良かった」ベン・ハー(1926) ぽぽさんの映画レビュー(感想・評価)
思いの外良かった
「サイレント映画だし2026年の人間が観てもな~。ま、宗教と歴史の勉強になるから観てみるか」と期待せずに鑑賞。
うわ、ちゃんとおもしろい!
サイレントを馬鹿にしていて本当にすみませんでした。自分が無知で恥ずかしい…!
セリフが限られている分、観客が状況理解できるよう、俳優の動きや演出など“画で見せる”ことのレベルが非常に高くて驚いた(ベン・ハーがガレー船から覗く同胞のユダヤ人奴隷を苦渋の決断で見捨てるシーンetc.)。完全なカラーではなく限定的に色を付けることにより、かえって人物の感情や情景が際立たせることにも成功している(マリアを見た時の赤子を抱く女のシーンetc.)。
状況説明のセリフがダラダラ長い現代の作品の方が、むしろ劣っているかもしれない。昔の人のアイデアや工夫に脱帽した。
またガレー船のシーンは必見。当時のガレー船ってこういう構造だったんだ!そして漕ぎ手は奴隷たちが従事していたんだなあ…と勉強になった。
あと「聖衣」と同じくキリストは体の一部が出てくるだけで顔は映さないようにしているのだが、これは偶像崇拝禁止の故だろうか?
しかし気になったのは、やはりユダヤ人視点のみで描かれているところ。そういう作品だから仕方ないのだが…。ニュートラルでない点はどうしても気になる。宗教とは難しい…。
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