ペーパー・ムーンのレビュー・感想・評価
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父親だから一緒にいたいのではなく、あなただから一緒にいたい
母親を交通事故で亡くした少女と詐欺師の男性の交流を描く。
モノクロだけど、余計な色彩が無い分、二人の会話や交流が鮮明に映る。
詐欺師の男性は少女の母親と一時期恋仲だったようで、
葬儀に花を手向けに来たところ、少女を遠方の親戚のところまで送る役目を押し付けられる。
さすがは詐欺師、そんな出来事も勝機とばかりにお金をだまし取る。
お金だけ取って、親戚のところへ少女を送り届けず、電車に1人乗せようとしたところ、
少女の方が一枚上手で、最初の約束通り、少女を車で送らないといけなくなった。
渋々と少女を連れながら、ついでにいつも通りの詐欺行為をしていたら、なんと彼女にも詐欺の才能が!
もちろん犯罪行為なんだけど、彼女なりの軸があることが物語を通して伝わってくるからそんなに嫌悪感ないかな。
男一人で詐欺をするよりも儲かるぞ!と二人で息ぴったりな詐欺行為の数々をこなしていくんだけど、なんか憎めない。
母親と恋仲にあったことから、「本当にお父さん?」と思う場面もあるけど、
血のつながりよりも心のつながりにフォーカスした描き方を徹底しているように感じた。
父親だから一緒にいたいのではなく、あなただから一緒にいたい、そんな言葉が聞こえたような気がした。
血のつながりも縁もゆかりもない大人と子供が疑似家族として絆を深めていく構成は
チャップリンの『キッド』を彷彿させる。キッドは1920年代、こちらは1970年代、
半世紀経っても、心の繋がりを拠り所とする人間関係が人々を魅了するのは変わらないようだ。
アメリカ大恐慌時代の詐欺師の楽しい映画
今日は、『怒りの葡萄』を観てから、この映画『ペーパー・ムーン』を観た。
両方とも1930年代のアメリカ、大恐慌時代を背景にアメリカ中西部を描いた映画であり、本作のピーター・ボグダノヴィッチ監督はジョン・フォード監督を尊敬していたため、この映画でライアン・オニールが運転する車は「『怒りの葡萄』の農民一家のトラック」とすれ違う場面がある。
それを確認したかったので、本日、この2作を続けて観た。…ヒマ人である(笑)
この『ペーパー・ムーン』の初見は学生時代(1979年8月)の銀座ロキシー(2本立て)、43年ぶりに鑑賞。
久しぶりに観て、「こんなに面白い映画だったっけ?」と思える楽しさだった。
多分、初めて観た時には、「なんで9歳の少女がタバコを吸うんだ?」というのを結構気にしてしまったので、気が散っていたかも知れない。
今回は、「大昔の話だし、そんなもんかな?」と観る前から思っていたので、物語に集中できた気がするのと、カメラワークの見事さに驚いた!
本作は、大恐慌時代のアメリカで、詐欺師(ライアン・オニール)が聖書を売りつけているが、みなしごの9歳の少女(テイタム・オニール)を親戚の家(ミズーリ州)まで届けることになる。
その道中、詐欺をしながら、さまざまなことが起きる楽しいエピソードが描かれ、観終わると心温まるような気持ちになる物語。
ニューヨークの大西洋に面した大きな遊園地コニー・アイランドは、ダグラス・サーク監督の『悲しみは空の彼方に』でも映されていたが、コニー・アイランドの名物はホットドッグ。
この『ペーバー・ムーン』では食堂でライアン・オニールがテイタム・オニールに「コニーアイランドを食べるか?」と言って注文するが、テイタムがなかなか食べないので「コニーアイランドを食べろよ」というセリフを5~6回繰り返す。これが耳に残る(笑)
(※)日本語字幕は「ホットドッグ、食べろよ」との記載。
この映画で、テイタム・オニールは機転をきかせた少女を見事に演じて、アカデミー助演女優賞を獲得。それだけの価値はある。
ライアン&テイタム親子の姿が微笑ましい映画であり、傑作!
詐欺師の親子の旅物語(ロードムービ-)
1930年代、禁酒法施行下のアメリカが舞台のモノクロ映画。
オンボロ車に乗りながら運転席には聖書を売りながら詐欺師の男と(ライアン.オニール)
、知人の娘。むっつり顔の9才の女の子(テータイム.オニール)
を乗せて、たびが始まる。車からは1930年代のラジオの番組。流行歌や黒人ジャズが流れている。
良き時代のアメリカの風景が、走る自動車の窓から見えてくる。
何とも粋な映画だろう。この映画の楽しさはなんと言っても実の親子でもある、詐欺師の親子の絶妙な掛け合いだ。詐欺師と言っても、どこかユーモラスでおっちょこちょい。詐欺師でも悪意が感じられない。そしてなんと言っても、テータイム.オニールの賢くウィットにとんだやりとり。
9才の女の子の機転の利く助けで、売れなかった聖書が次々と売れる。
女の子にせがまれて、夜の遊園地の中で、ペーパームーン(紙のお月様のモニュメント)に座り写真を撮る二人。
いつもはむっつり顔の女の子が、この時ばかりは頭にリボンを付けておすまし顔。
ロマンチックでモダンなロードムービ-。
叔母さんのところまで、届けるつもりの出会いだったが…いつしか、本当の親子のような愛情が芽生え。
作り物の紙の月様が、本物のお月様に変わるとき。
映画を観るものに、優しい気持ちにしてくれる、1970代の名作映画。
これぞ、アメリカ。
【テータム・オニールのツンと澄ました表情の中の、寂しげな瞳にヤラレタ作品。その後の、実父ライアン・オニールとの関係性が滲み出ている作品でもある。】
ー 内容は、巷間に流布しているので割愛。
但し、テータム・オニールのツンと澄ました表情と寂しげな瞳と聡明な姿が印象的な作品。
自分を娘と認めない詐欺師の男モーゼを演じた実父、ライアン・オニールとの、その後の関係性を考えると、ラストシーンなど、複雑な気持ちになってしまう作品。-
・テータム・オニールに小学生の時に夢中になったのは、「頑張れ、ベアーズ!」を見たからである。男の子のようなショートヘア―で、おしゃまな彼女が、弱小チームのエースとして活躍する姿にヤラレタのである。
・その後、今作を観て、初見の時には相変わらずの眩しそうな眼と、滅多に笑わない表情。だが、聡明さ溢れる少女を好演していて、これは最年少オスカーを獲ったのは、良く分かるなあ・・、と思ったモノである。
・だが、彼女は「頑張れ、ベアーズ!」以降、目立った作品は無く、女優活動を続けていたが、後年知った、父ライアン・オニールの駄目父振りを知った時には、ショックであった。
・更に、マッケンローと結婚したと知った時には”大丈夫か?”と思ってしまった事を覚えている。
ー 大丈夫ではなかった・・。-
<天才子役は大成しないというジンクスは、彼女の芸能生活から起きてしまったと思う。
けれど、それは彼女自身のせいではなく、彼女を本来であれば守るべき父が、障壁になっていたと言う事実を知った時には、暗澹たる気持ちになってしまった。
救いは、現在の彼女が幸せそうに見える事である。
この作品を最初に観た際には、流石、テータム・オニールだなあ、と思いながら観たのだが、その後色々な雑音を知ってしまい、三度目の鑑賞の際には複雑な気持ちになってしまった作品でもある。
けれど、作品自体はテータム・オニールの魅力爆発の、素敵なコメディ映画であるので、未見の方には「頑張れ、ベアーズ!」と併せて、是非、観賞して頂きたい作品である。>
値千金のラスト
普通だったら、おばの家にテータム・オニールを届けて終わりというところだろうし、だれもそう思っていたと思う。しかし、この映画は観客が喜ぶような展開になった。そもそも映画はフィクションなのだから、現実的でなくてもよいはず。だったら、不治の病が治ってもよい、事故で主人公だけ助かってもよい、人が空を飛んでもよいはず。
広大な大地を進んでいく二人は、まるでチャップリンの「モダン・タイムス」のラスト、希望も持って歩き出そうとする二人のシーンのようだ。
タイトルなし(ネタバレ)
ウィキで調べたら最年少助演女優賞を得ていて
未だにその記録は破られていないらしい
それぐらいにテイタム・オニールの少女アディの演技はいい
主演のライアン・オニールの実の娘らしい
それ故かコンビネーションのいい演技も見せる
亡くなった女性と付き合ってた男が女性の娘アディを
親戚の元に送り届ける約束をするのだが
この男モーゼは詐欺師でありユスリでお金を稼いでいるのをアディにバレてしまう
アディは自分をネタにユスってたのを理解し自分のお金として請求する
その事から道すがら詐欺して稼ぐ珍道中が始まる
聖書を売りつけたり、両替でお金をごまかしたり
大人以上に頭の切れるアディはいつの間にかチームになり
欠かせない存在になっていく
そんな中モーゼは大人の女に夢中になり貢ぎ出すが
アディは知略でこの女を追い払う
金がなくなってきた所に密造酒の隠し所を知り
盗んだ密造酒を本人に売りつけるという危ないヤマを踏むが
密造してた者の兄が保安官で逮捕されてしまう
ここでもアディの機転で脱走して
車を変え州を越えるのだが
逮捕されない代わりにモーゼはヤキを入れられ金を取られてしまう
その後やっと親戚の元に送り届けられるアディ
自分の本当の父親じゃないの?と問いかけるアディに
モーゼは違うと語り去って行く
親戚のうちは裕福そうだがアディの気持ちは打ち解けない
路肩に止めてアディの置いていった写真を見つめるモーゼ
バックミラーに親戚の家から逃げ走ってくるアディの姿を見る
車を降りて迎えるとアディは言う
『まだ200ドルもらってない』
そこで車が坂道で動き出してしまい
慌てて二人は車に飛び乗り去って行く
遠ざかる車を見ながらエンドロールが始まる
白黒の映像が物語を引き立ててる感じがする作品
時代的に普通にカラーで撮れたけどあえて白黒が選択されたようだ
ろくでもない男でも一緒に居て精神的な繋がりができれば
親子のような関係になっていく
親子って血縁が重要ではなく
側にどれだけ入れるかが大きな要因だろうね
育ての親に影響されアディはろくな人間になりそうにないが
そんな事を考えさせるのもこの映画の目的なのかもね
ちょっと魅力的な生きざまの冒険
騙すのが商売の偽親子の騙せないこころ
遺族を騙して聖書を売り付ける詐欺師のモーゼが、母を亡くした少女アディを親戚のところまで届けるロード・ムービー。ライアン・オニールと実娘テータム・オニールとの共演が話題になって当然のテータムの大人顔負けの演技は、アカデミー助演女優賞を受賞する。堂々とタバコは喫うし香水をべったり付けたりのませたところと、階段を昇り降りする子供らしい仕草の対比が面白い。新聞の死亡欄をチェックする詐欺の定石や、高額紙幣にわざとメモ書きをしてお釣りを騙すやり方など、映画の中の面白い話で誰かに言いたくなるようなエピソードだ。途中から加わるトリクシーを演じるマデリン・カーンの、少し抜けたところのあるダンサーの哀愁もいい。実の親子だと確信が持てないけれど、ふたりが次第に実の親子以上の気心の知れた関係になる人情劇の温かさ。「ラスト・ショー」のピーター・ボグダノビッチ監督のもう一つの秀作。
ときそば
とてもよかった
里親映画であると聞いて見てみたが、9歳の女の子が精神年齢18歳くらいで、親を求めている感じがしなかった。おじさんと対等に渡り合っていて頼もしい。おじさんは実のお父さんかもしれないのだが、詐欺師で、その日暮らしで変な女にはまって大変だった。女の子の方が大人っぽくすらある。
おじさんが、車を交換するときに素手ゴロをするのが面白かった。その際、敵の家族がめちゃくちゃ興奮していて、そういう文化があるのだろうか。
文句なく観て良かった作品
ずいぶん以前にレンタルで観たのだけど忘れている所多々あり。
グラマーダンサーのトリクシーとその付き人の黒人少女の存在は
丸ごと忘れていたので新鮮でした。
何よりも主人公の二人が働く詐欺シーンが秀逸。
子供のアディの方がよっぽど臨機応変で詐欺師の素質あり!!
その反面、ちょっぴり子供らしいシーンもほの見えて
未だに破られていないアカデミー最年少受賞も納得の演技。
ライアン・オニールもチンケな小悪党、適度にダメダメな親父ぶりで
「ある愛の詩」で二枚目俳優として人気だった当時としては
よくこの役を受けたな〜〜とある意味、感心した。
話の中盤
グラマーダンサーのトリクシーに夢中になるモーゼに
拗ねてしまったアディを説得するトリクシーが
この子には子供は騙しは通用しないと瞬時に判断して
思わず女の本音で話すところが、なんとも良い。
モーゼが早くトリクシーから目を覚ます様に画策するところも
女VS女みたいな感じで、徹底的にドライで小気味良い。
そしてラストシーンまで余計なお涙頂戴に落ちる事なく
ドライなままで終わるので逆に余韻が残る。
ラストの長い長い長回しを観ている観客は
トラックの二人の会話を想像するのも楽しい〜〜
★もう一度観るなら?
「有料チャンネルやレンタルでじっくり観たい」
幸せの一つの形の提示
午前十時の映画祭のチラシの「ケチな詐欺師とおマセな女の子が織りなす笑いと涙のロード・ムービー」という紹介文と、当時女の子役のテイタム・オニールが史上最年少でアカデミー助演女優賞を受賞し、未だにその記録が破られていないというミニ情報を得て、映画館に鑑賞に行った。やはり信頼に足る情報は欠かせないものだと思った。期待以上に楽しめて、大いに感動した。終始ストーリーがどう展開するのかハラハラドキドキの連続だった。少女役のテイタム・オニールの演技は見事だった。詐欺師と少女は親子かもしれないという設定になっているが、詐欺師役のライアン・オニールと少女役のテイタム・オニールは実際に実の親子である。だからお互いがあれほどに息の合った演技が出来たのかもしれない。ストーリーは少女アディの目線を通して進む。初めは反目していたのに、少女アディは詐欺師のモーゼに実の父親像を重ねていたのか?それとも思春期特有の淡い初恋を寄せていたのか?自らは9才であるのに、モーゼの前で思いっきり背伸びをして大人の女性であるようにアピールしてみせ、モーゼの恋路を邪魔したりする。その姿は愛嬌があり滑稽でもあるが、一方で切なくもある。そんなアディに尻の軽いダンサーのセクシーなトリクシーは「骨格がしっかりして女性らしい体つきになるのは17歳からよ」と言い含めたりする。とにかくアディがモーゼを好きであることは間違いない。アディはその機転で旅中何度もモーゼの危機を救っている。ラストでは伯母の家で裕福で安定した生活を用意されるのに、アディは好きな人モーゼとの気ままで楽しい放浪生活の方を選ぶ。幸せの一つの形を我々は提示されて、映画は終わる。
子供の喫煙は2018年には受け入れがたい。
のっけから流れる主題歌「イッツオンリーアペーパームーン」が、わぁー聞いたことあるーってときめきまして、もうそれだけで千円元取れたって気持ちになりました。
アディのママは死んじゃって(はっきりわからないけど娼婦だったのかな?)、埋葬せんとするその時に男はやってくる。男はぬるーい詐欺師で、もしかしたらアディのパパかも。そんな2人のロードムービーです。
確たる起承転結のないお話です。
時代は禁酒法時代なので1920-30年代くらいでしょうか。
ストリップ小屋の流れのストリップガールとその付き人が途中で加わって4人旅になります。
ギャング?を騙してお金儲けたのに隣の州で見つかってお金すっからかんになってしまいましたってのが一応のオチかな。アディはピアノもある裕福そうなおばさんの家での暮らしより、モーゼとの旅をえらんだのでした。
アディは生意気で賢い八つの女の子で、男の子に間違えられたりして怒ったりします。お金の計算が得意です。基本ブーたれ顔だけどかわいいです。ラジオがお友だちでママの香水つけたりもするおしゃまさんでもありす。そして喫煙します…
子役が本当にタバコを吸ってるんですねー、いやーもうそれが、2018年には衝撃でした。
ショック強くてそのことの印象が全体の5割みたいになってしまいました。
白黒映画です。
好きとしか言えない
人との出会い
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