劇場公開日 1974年3月9日

「アメリカ大恐慌時代の詐欺師の楽しい映画」ペーパー・ムーン たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アメリカ大恐慌時代の詐欺師の楽しい映画

2022年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

今日は、『怒りの葡萄』を観てから、この映画『ペーパー・ムーン』を観た。
両方とも1930年代のアメリカ、大恐慌時代を背景にアメリカ中西部を描いた映画であり、本作のピーター・ボグダノヴィッチ監督はジョン・フォード監督を尊敬していたため、この映画でライアン・オニールが運転する車は「『怒りの葡萄』の農民一家のトラック」とすれ違う場面がある。
それを確認したかったので、本日、この2作を続けて観た。…ヒマ人である(笑)

この『ペーパー・ムーン』の初見は学生時代(1979年8月)の銀座ロキシー(2本立て)、43年ぶりに鑑賞。
久しぶりに観て、「こんなに面白い映画だったっけ?」と思える楽しさだった。
多分、初めて観た時には、「なんで9歳の少女がタバコを吸うんだ?」というのを結構気にしてしまったので、気が散っていたかも知れない。
今回は、「大昔の話だし、そんなもんかな?」と観る前から思っていたので、物語に集中できた気がするのと、カメラワークの見事さに驚いた!

本作は、大恐慌時代のアメリカで、詐欺師(ライアン・オニール)が聖書を売りつけているが、みなしごの9歳の少女(テイタム・オニール)を親戚の家(ミズーリ州)まで届けることになる。
その道中、詐欺をしながら、さまざまなことが起きる楽しいエピソードが描かれ、観終わると心温まるような気持ちになる物語。

ニューヨークの大西洋に面した大きな遊園地コニー・アイランドは、ダグラス・サーク監督の『悲しみは空の彼方に』でも映されていたが、コニー・アイランドの名物はホットドッグ。
この『ペーバー・ムーン』では食堂でライアン・オニールがテイタム・オニールに「コニーアイランドを食べるか?」と言って注文するが、テイタムがなかなか食べないので「コニーアイランドを食べろよ」というセリフを5~6回繰り返す。これが耳に残る(笑)
(※)日本語字幕は「ホットドッグ、食べろよ」との記載。

この映画で、テイタム・オニールは機転をきかせた少女を見事に演じて、アカデミー助演女優賞を獲得。それだけの価値はある。

ライアン&テイタム親子の姿が微笑ましい映画であり、傑作!

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たいちぃ