プロテクターのレビュー・感想・評価
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ジャッキー監督版が1番面白い
ジャッキー映画でも特にバージョン違いの多い作品。ジャッキー・チェンが2度目のハリウッド挑戦をした映画だが、ジェームズ・グリッケンハウス監督と製作方針などをめぐって対立。米国風の罵り言葉やヌードシーンがあること及びアクション演出などに不満だったジャッキーがアジア公開版のみ自分に部分的な撮り直しをさせるよう要求し、それが認められたという。そのジャッキー修正版が日本でも公開された……とある時期までは言われてきてジャッキー本などでもそう書いてあるものが多いが、日本公開版はグリッケンハウス版とジャッキー版をつなぎ合わせた独自のバージョンだったらしい。エンドロールのNG集も日本公開版にしかない。VHS&LDは日本公開版そのままだったが、DVDは最初のスパイク版がジャッキー版、次のユニバーサル版と現行のパラマウント版はいずれもグリッケンハウス版となっているとのこと。配信やテレビ放送のバージョンはわからない。
僕は劇場公開時に観に行ったが、『プロジェクトA』『スパルタンX』に比べて面白くなかった記憶があり、それ以来VHSもテレビ放送もDVDも観ていなかったが、最近になってそういや今レンタルされてるDVDってオリジナルのグリッケンハウス版だったのでは……と気づき、あまり面白くなかった日本公開版よりさらに面白くない可能性が高いものの、それでもなんだか観たくなりレンタルして観た。その後やっぱりサリー・イップの登場シーンや撮り直しされたバトルアクションが観たくなり、ジャッキー版および日本公開復刻版が特典映像として収録されたパラマウント版Blu-rayの中古が1000円未満だったので購入。ところが最初のBlu-rayに収録された日本公開復刻版は正確な再現ではないらしく、その後に出たエクストリーム・エディションというBlu-rayに収録されてる日本公開版が正確なものらしい。確かに日本公開した際の上映時間は映画データベースサイトなどに96分とあるが、最初のBlu-rayに収録されてる復刻版は104分もある。最初のBlu-rayの中古がずいぶん安くなってたのはそのためか。
3バージョンの主な違いは以下の通り。
・グリッケンハウス版……95分。全編英語。ヌードシーンあり。サリー・イップ未出演。NG集なし。
・ジャッキー版……87分。全編広東語。ヌードシーンなし。サリー・イップ出演。NG集なし。
・日本公開版……96分または97分。英語と広東語が混在。ヌードシーンなし。サリー・イップ出演。NG集あり。
グリッケンハウス版はやはり面白くなかった。サリー・イップが出てこないし、何よりアクションがいまいち。唯一良かったのは、この頃のジャッキー映画では珍しく本人の地声が聞けるところ。当時の香港映画は同録がされず地元でも吹替だったが、本作のオリジナル版は英語なので本人の地声。ジャッキーの地声は後の作品でも聞けるが、ムーン・リーの地声は初めて聞いたかも。
ジャッキー版は、ジャッキーが自費で全編撮り直したというラストバトルにおいて、記憶にはあったがグリッケンハウス版には無かった金網に吹っ飛ばされたジャッキーが反動を利用して殴り返すとか電動丸ノコの攻撃で羽毛が乱れ飛ぶシーンがあった(もちろん日本公開復刻版にもある)。またサリー・イップが出演するエピソードの挿入やヌードシーンのカットばかりでなく、ムーン・リーの親父がビル・ウォレスに殺されるシーンが追加されており、さらに全編に渡って各シーンがちょこちょこカットされていて、アクションばかりでなくストーリー展開もオリジナルのグリッケンハウス版よりテンポが良くスピーディーになっている。撮り直さなかったアクションシーンも編集で手直ししてるようで、両バージョンを続けて観るとジャッキーのほうがグリッケンハウスよりもアクションというものをよく理解してることがわかる。早回しやスローモーションという編集スピードと効果音だけでこうも面白さに違いが出るのかと感心した。はっきり言ってジャッキー版のほうが圧倒的に面白い。あえて難点を言えば、グリッケンハウス版に比べて相棒のダニー・アイエロがほとんど空気と化しており、全編広東語ということも相まって米国映画要素のほとんど無い、いつもの香港ジャッキー映画みたくなっていてハリウッド進出感が薄いというかほとんど無い。
そして不正確ではあるが日本公開復刻版は、グリッケンハウス版とジャッキー版をつなぎ合わせた編集で、英語&クリアな映像のグリッケンハウス版と広東語&画質の悪い映像のジャッキー版が頻繁に入れ替わるためどうにも落ち着かない。グリッケンハウス版とジャッキー版いずれかにあるシーンばかりで新規の映像があるわけでもなく、エンドロールのNG集のみが日本公開版でしか観れない映像。
というわけでやはりジャッキー版が1番面白かった。日本公開版とグリッケンハウス版は好事家以外は特に観る必要はないと思う。ジャッキー版★3.5、日本公開版★3、グリッケンハウス版★2.5で、平均★3。
ジャッキー
ジャッキーが気に入らず、アジア公開版を取り直したという曰くつきの作...
威龍猛探〜思い出のジャッキー映画〜
オリジナル版と香港版は全く違う作品
俺は試写会で、東宝東和の会社の試写室で観ました。
撮影中、監督とジャーッキーは考えが食い違い、反発し合っていて
ジャーッキーは特にアクション・シーンに納得がいってなかった。
作品の出来に不満なジャッキーが制作元のワーナーに詰め寄り、
最終的にアジア圏で公開するバージョンについてはジャッキーが監督として
修正を入れることを承諾させる。
俺が観たのは香港版で、ジャッキーが追加撮影して自ら再編集したもので、
監督(演出)が違うものが混合しており、しかも音声も英語と広東語が混合していて
統一感が全くとれていないものとなっていて、とても酷いものでした。
今はBlu-rayでオリジナル版と香港版両方観れるので、
機械があれば、オリジナル版を観て見たいですね。
新しいジャッキーの模索
拉致された令嬢を救うために香港に飛んだN.Y市警刑事の活躍を描く物語。
ジャッキー・チェンとしては珍しいハード・ボイルドタッチの刑事物です。
丁度転換期の頃の作品ですね。「時代劇・修行」が基本だったジャッキー映画でしたが、この頃から舞台を現代に移し、修行要素もなくなりました。
コメディ部分を削った作風も、ガンファイトも、ジャッキーとしては新しい試みで興味深く鑑賞しました。
肝心のカンフーアクションは、ガンファイトの割りを喰った形で少し大人しめ。しかし、新鮮なガンファイトを含めて満足いくレベル。
予めラスボスの存在が明示され、それを追い詰めるストーリー展開は、無理なく楽しめるものでした。
ただ、残念なのは、全体的に『雑』なところ。
例えば、派手な爆破シーンがあるのは良いのですが、「何故相手は逃げないの?」と疑問。
例えば、令嬢のボディガードが、いつの間にかラスボス側の手下のような振舞をしていることも違和感。
理由付けはされていましたが、ラスボスとボディガードは敵対関係のはずです。無理せず、ラスボスの手下にした方が納得感があったと思います。
その他にも幾つか疑問に思う設定があって、映画としての完成度を下げてしまったように思います。
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