劇場公開日 1988年4月29日

「あまりにも身近であり生きる上で大切なことばかり!」ブロードキャスト・ニュース シネマ大好きさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0あまりにも身近であり生きる上で大切なことばかり!

2025年4月5日
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昨夜は「ブロードキャスト・ニュース」(87・米)を見ました。

隠れた傑作です。
なぜ隠れたかというと、ほとんど誰も秀作としてこの作品を挙げることがないからです。

一言で表現すると、ヒューマン・ロマンティック・コメディ・ドラマ作品です。

内容がとても濃く一瞬もダレることなく物語が綴られます。その要因は主役三人のキャラクターが極めて細密に深奥まで創り上げられているためです。

その三人のトライアングル・ラブも絡められながら、恋・愛・友情といった前向きな感情が丁寧に描き込まれています。

この作品は、ともすれば重くなりそうな時その事柄や人物像をそのままの角度で直視することを完全に避け、あくまでも爽やかに軽やかに優しい眼差しをもって見つめます。

ここには否定は全くなく、すべての面を良い角度から捉えようとする肯定的で素直な創作者の人柄が滲み出ています。

ヒューマン・ドラマとして真剣に見ることもできるし、ロマンティック・コメディとして軽妙に見ることもできる、極めて秀でた傑作だと断言できます。

女性が男性社会で働き抜く厳しさ、つらさ、そのストレスも彫り込んでおり、そのバイタリティーで己の意思を貫く姿には魅了されます。

また、ウィリアム・ハート演じるハンサムでナイスな男性は、まるで作品中で「美しく生まれてくるとは?」という永遠の問いを彼の人生で検証しているかのようです。

逆に、ルックスは冴えないが頭は良い男性が、以下に美男より過酷な人生を強いられるかを、彼がそれ故に皮肉っぽくなったことも含めて突き詰められています。

作品で描く要素が余りにも身近であり、生きる上で大切なことばかりであるため、作品世界を生きた僕はより濃く厚く感じました。

シネマ大好き