「眩しい天国の描写と現実」不良少女モニカ あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
眩しい天国の描写と現実
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<イングマール・ベルイマン監督作品 1953/スウェーデン>
この映画が ベルイマンの作品の中でどんな意味をもつかよくわからないが、中盤の美しい映像に釘付けにさせられた。
束縛から逃れ、自然の中で二人きり。極上のロマンチックな世界。光があふれ、自由奔放に動き回るモニカの裸体をハリーが眩しそうに目で追う。二人ですべてを補い合い、満たされる。ここは天国かエデンの園か。不良少女とよばれ下品な印象だったモニカだが、その奔放さが自然の中では素晴らしい。
現実的には、未熟な若者の刹那的な逃避行。永続不可能。しかし本来どっちが人間の姿なのだろう?と考えたくなる説得力が、ここにはある。
世知辛い現実もまた描かれる。男には労働が、女には出産や育児、そして男の誘惑も待ち受ける。ハリーは堅実な人生を歩みそう。モニカの方は悲惨かもしれない。
あれだけ愛し合えた仲なのに、現実の厳しさの前にあっと逢う間に崩れ、違う道を辿るとは…。
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