「総天然色になって更にパワフル」プラン9・フロム・アウタースペース shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
総天然色になって更にパワフル
聞きしに勝るエド・ウッドの至宝。彼の情熱の全てがこの作品にぶち撒けられている。知る人ぞ知るベラ・ルゴシの最後の出演作品でもある。魔人ドラキュラに始まって、最後もそのドラキュラ・コスチュームで去る。ピアニストのグレン・グールドをも彷彿させる往年のモンスター俳優の白鳥の歌でもあることを頭の片隅に置いて鑑賞すれば、感慨も一入である。チープな作りとグズグズな画像は全くローファイなガレージ音楽にも通じて、極めて少数派の人々のハートを鷲掴みにする。人を選ぶ強烈なドラッグでもある。それでも、脚本は人間の愚かさを真っ向から批判し、それは現代だからこそ猛烈な警鐘を鳴らす優れたところもある。宇宙人の台詞の中のほんの一部でしか無いが…しかし、この作品は後にも先にも誰も真似しようとすら思わない相当ぶっ飛んだ代物だけに映画史に残る紛れもないマスターピースである。万感の思いを込めて、惜しみない拍手を私はいつまでも送るだろう。
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