フランケンシュタインの花嫁

劇場公開日:1935年7月11日

解説

「フランケンシュタイン(1931)」の続編で、同じくボリス・カーロフ主演、コリン・クライヴ共演、ジェームズ・ホエール監督で製作されたもの。「幻の合唱」の脚色者ジョン・L.ボルダーストンと「模倣の人生」の脚色者ウィリアム・ハールバットが協力して書き下ろし、ハールバットが脚本を作った。キャメラは「化石人間」のジョン・J・メスコールの担当である。カーロフ、クライヴの他に、「幻の合唱」のヴァレリー・ホブスン、英国から招かれたエルザ・ランチェスター(チャールズ・ロートン夫人) 「魔の家(1932)」のアーネスト・シージガー、「フランケンシュタイン(1931)」のドワイト・フライ、O・P・ヘギー、ユーナ・オコナー等が出演。

1935年製作/75分/アメリカ
原題または英題:The Bride of Frankenstein
劇場公開日:1935年7月11日

あらすじ

科学者ヘンリー・フランケンシュタインが死刑囚の死骸を墓場から掘り出して、嵐の夜電撃によって再生させた「怪人」は、群衆に追い詰められて山頂の風車小屋に逃げ込んだが、火を放たれてついに焼死した……と思われたのであった。ところが悪運強い「怪人」は猛火に包まれたが、床下の水穴に落ちて助かったのである。一方、怪人との闘争で重傷を負ったフランケンシュタイン博士は新妻エリザベスの介抱に快方に向かった。ところが全て博士に生命創造の思想を吹き込んだプレドリアス博士が訪れて、生命創造に協力してくれと誘うのだった。フランケンシュタインは拒絶したが、プレトリアス博士も創造に成功したという話に好奇心を起こして、その奇妙な創造人形を見に赴いた。しかし協力することはどうしても承知しなかった。村人たちは森の泉で羊飼いの娘が怪人に殺された報せを受け再び怪人狩りに向かった。そしてついに補縛された怪人は町の石牢に鉄鎖でつながれた。けれども怒り猛った怪人は苦もなく牢を破って再び森の奥に逃げ込んだ。途に迷った怪人は山小屋から漏れ聞こえる楽の音に心引かれて訪れると、小屋の主の盲老人は親切にもてなした。初めて火との親切を知った怪人は老人から言葉を教わり、楽しい幾日かを送ったが、またまた追手に発見されて逃れ、納棺堂に隠れた。そこで、処女の骨を求めに来たプレトリアス博士と会い、博士が彼の為に女を創造すると聞いて怪人は喜んだ。プレトリアス博士はフランケンシュタイン博士の新妻エリザベスを怪人に襲わせて、怪人の花嫁製造にフランケンシュタイン博士を否応なく協力させた。かくてついに女怪の創造は成功した。怪人は喜んでその花嫁を抱こうとしたが、女怪は嫌わしげに悲鳴を上げて飛びのいた。友愛を剥期して憎悪を報いられた怪人は、怒りと失望の余り、全屋に通ずる電流のスウィッチを入れた。轟然、フランケンシュタインの山の研究所は粉砕され、怪人はプレトリアス博士と女怪と共に死んでしまった。フランケンシュタイン博士は、監禁を脱して彼を迎えにきたエリザベスと共に戸外に避難した為に災厄を逃れたのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第8回 アカデミー賞(1936年)

ノミネート

音響録音賞  
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映画レビュー

4.0前作を「陰」とするなら、こっちは「陽」

2025年7月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

驚く

色んな点で前作とは対称的な作品。
まず、前作で誕生するのは男の怪物だが、本作で誕生するのは女の怪物である。
前作の怪物は無邪気な幼な子のようなところがあったが、本作では言葉をしゃべり高い知性を感じさせるし異性にも興味津々。前作の怪物が幼な子なら、本作の怪物は思春期である。
前作をシリアスドラマとするなら、本作はブラックユーモア的なコメディ色が強い。
前作をSFとするなら、本作はファンタジー色が強い。

なんだかんだで前作を「陰」とするなら、本作は「陽」の雰囲気が強いのである。

前作は『フランケンシュタイン』(1931)。
言わずと知れたモンスター映画の金字塔。フランケンシュタインの怪物のイメージを決定付け、今だに世界中のホラーファンから愛されている傑作である。

前作を大ヒットさせたジェームズ・ホエールは続編の監督をやるのをずっと渋っていたらしいのだけど、作品に関する全ての決定権を自分が持つ、という条件で引き受けたそうである。

そのジェームズ・ホエールが強くこだわったのが怪物の花嫁役としてエルザ・ランチェスターを起用することだったみたいで、確かに本作の成功は彼女によるところが大きいと思う。

一見、ツンとお高くとまったクール・ビューティーなのだけれど、奇妙な親しみやすさがあるのだ。
怪物の花嫁は、あのインパクトのあるチリチリ頭の強烈な風貌である。
一歩間違えたら悪ふざけのパロディみたいな作品になりかねないところを彼女は気品とユーモアを兼ね備えた演技で花嫁役(と原作者のメアリー・シェリー役の二役)を堂々と演じ切った。
彼女のおかげで本作は「ダメなPart2」の仲間入りをしなかったのだといっても過言ではないだろう。

さらに、本作の陰の(?)功労者と言ってもいいのが、フランケンシュタイン博士の禁断の実験に手を貸すプレトリアス博士という悪魔的な人物である。

ホラー小説家のクライヴ・バーカーはこの博士をゲーテの『ファウスト』に登場する悪魔メフィストフェレスのようだと言っていたが、慧眼である。
このプレトリアス博士、風貌も言動もまさに人間を誘惑する悪魔そのもの。
フランケンシュタイン博士が男の怪物の創造に成功したという噂を聞きつけ、次は女の怪物を造って二人を結婚させて生殖行為をさせようと博士を焚き付けるのだ。

これ、深く考えると(深く考えなくても)かなりヤバい話であり、現代のクローン人間の問題にまで繋がる倫理的な危うさを秘めている。

プレトリアス博士という悪魔的な怪人物が登場することで物語は一気にファンタジックな様相を帯び、さらにはこの博士のユーモラスなキャラクターによって作品全体がブラックコメディー調となってテンポよく動きはじめる。

前作と本作でメインキャラのフランケンシュタイン博士がいまいち地味で面白味のないキャラクターであるのに対して、プレトリアス博士は面白すぎる(笑)キャラクターであり、ある意味本作は前作よりも"面白い"作品になっている。

本作は物語としては悲劇的な色合いが濃い。
にも関わらず作品全体が暗い雰囲気にならないのは、怪物の花嫁を演じたエルザ・ランチェスターとプレトリアス博士を演じたアーネスト・セジガーという俳優の体当たりの怪演によるところが大きい。

惜しむらくは怪物の花嫁の出演シーンがびっくりするほど短いこと。
もっとエルザ・ランチェスターの怪演が観たかった!
でも、短い出演シーンでこれほど強烈な印象を残すキャラクターというのも滅多にいない。天才ジェームズ・ホエールの手腕に唸らされる。

モンスター映画ファンならもちろんのこと、ティム・バートンの『フランケンウィニー』が好きという方なら前作と合わせて観ておいて決して損はない傑作である。

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盟吉津堂

4.0マイノリティの悲しみ

2024年1月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

盲人との交流が胸を打つ。いつだって怖いのは人の心を持たぬこと。衆愚は心が過剰であり(過ぎたるは猶及ばざるが如し)、マッドサイエンティストにはそれが足らぬ。

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ouosou

3.0We belong to die. モンスターの悲哀

2020年4月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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アキ爺

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