「《プラトーンとは30~60名の小隊》のことを言う。」プラトーン 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
《プラトーンとは30~60名の小隊》のことを言う。
1986年(アメリカ)
オリバー・ストーン監督・脚本。
ベトナム戦争を一人の若者の体験を通して
暗い側面を描いた戦争映画。
大学を中退して一年間の兵役についたクリス・テイラー
(チャーリー・シーン)。
貧しい者ばかりが戦うベトナム戦争に憤りを感じて、入隊する。
クリスの目を通して描かれるカンボジア国境2キロの最前線。
手紙に戦局を認めていたクリスが、やがて何ヶ月か経つといっぱしの
兵隊に成長。
分隊にはバーンズ(トム・ベレンジャー)という古参の《戦争のプロ》
がいて、対してエリアス(ウィレム・デフォー)は、
人間らしさを失わない3等軍曹で分隊長。
ある日エリアスはバーンズの分隊が、ベトナムの村人を暴行して殺して、
村を焼き払うのを目撃する。
「軍法会議にかけてやる」とエリアスは言い、
バーンズとエリアスは取っ組み合いの喧嘩をする。
それを根に持ったバーンズは、人目のない場所で
証拠隠滅の目的でエリアスを狙撃する。
しかしエリアスはバーンズに撃たれても死んでいなかった。
「プラトーン」のジャケット写真にもなっている名シーン。
エリアスが、たった一人
ベトコンに包囲されながら、味方のヘリコプターに向かって
両手を大きく空に向けて突き上げる。
断末魔の雄叫びを上げてるのか?
何を思い、何を言いたかったのだろう?
そしてバーンズとエリアスの反目を間近で見ていたクリスは、
ある決断をする。
クリス自身が傍観者から当事者に変わった瞬間。
負傷して救援を呼ぶバーンズを至近距離から撃ち殺すのだ。
この映画はベトナム戦争の負の遺産を余す所なく描いている。
☆兵士に蔓延している麻薬や大麻。
☆誤爆
☆ベトナム人へのリンチ・暴行・レイプ。
★村を焼き払う。
★★アメリカ兵同士の殺人。
これだけのタブーが描かれていて、よくぞ公開されたものである。
ジャングル。
「タコツボ」と呼ばれる塹壕。
飛び交う《ナパーム弾》
重い銃に背中のリュックがまた重い。
ベトナム戦を戦った多くの兵がPTSDに苦しんだ。
それにしても、
ベトコンは精神を持たないゲームの中の兵隊のように
強かった印象がある。
人間の心を根本から変えるのが戦争だ。
へえ。プラトーンってそういう単語なんですね、知らなかった。
バーンズとエリアスの対比、見事ですよね。平時なら明らかにエリアスが正しいのに、戦場ではわからなくなってしまう。観ている俺たちすら、どちらが正しいのか不安になってくる。そこに正しい / 正しくないという言葉があるのか すら… いや、げに戦場とは恐ろしい空間です。