「【”大義なきベトナム戦争で戦ったのは、貧しき白人と有色人種だけだった。何のために、誰と戦っているのかも分からないまま。”従軍したオリヴァー・ストーンが、激しい怒りと共に母国に叩きつけた作品。】」プラトーン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”大義なきベトナム戦争で戦ったのは、貧しき白人と有色人種だけだった。何のために、誰と戦っているのかも分からないまま。”従軍したオリヴァー・ストーンが、激しい怒りと共に母国に叩きつけた作品。】
<Caution 内容に触れています。>
1.最初にこの映画を観たのは、高校生だった頃だろうか。
ビデオで鑑賞した。
印象は、それまでのヒロイックなベトナム戦争映画とは違うトーンであるな、という事であった。
勿論、「プラトーン」と言えば、”あのシーン”という、味方であるはずのバーンズ(トム・ベレンジャー)に森の中遭遇し、”正面から撃たれた”エリアス(ウィレム・デフォー)が、ベトコンの攻勢により、クリス(チャーリー・シーン)達が、ヘリで撤退する中、森の中から血だらけで走って来ながら、背後からべトコンの銃弾を浴び、天に祈りを捧げるように、両手を上げて背面から崩れ落ちるシーンは、強烈に覚えている。
ー 戦争の敵とは、状況によっては味方も十分に敵になりうるのだ、という思いと共に・・。ー
2.2回目に鑑賞したのは、「午前十時の映画祭」である。
何年かは覚えていないが、大スクリーンで観る圧倒的な迫力と、哀しきトーンの控えめな音楽が印象的であった。
そして、今作の主人公であるクリスが、今作の脚本・監督を務めたオリヴァー・ストーン自身がモデルであった事も知った。
それまで、下積みを重ねて来たオリヴァー・ストーンの渾身の脚本である事も、知った。
そして、この大義なき戦いを始めたアメリカ合衆国にオリヴァー・ストーンが、激しい怒りとともに叩きつけた作品であることを知った。
3.昨晩、久方ぶりに鑑賞した。
気づいたのは、戦争による死傷には、自国軍による誤爆も、多数合ったのだなあ、という事である。
そして、右も左も分からない、新兵たちが、あっと言う間に死体収容袋に入れられていくシーン。
2回目鑑賞時の様な衝撃は軽減したが、矢張り、今作は傑作である事を確認した。
そして、エリアスが”祈りを捧げるシーン”は、矢張り圧倒的な反戦シーンであった。
<ラスト、クリスがモノローグで語る言葉は、現代に生きる我々に対する、重い、重い箴言である。
不惑の歳になり、この作品が世に出た当時に、絶賛された理由が良く分かった作品である。
傑作は、再鑑賞に十二分に耐えうるという事も確認した作品でもある。>
□追記
昨晩、私よりも遥かに映画に精通しているレビュアーの方から哀しきトーンの控えめな音楽は”この映画に使われた弦楽のためのアダージョは、アメリカのクラシックの作曲家バーバーが作曲です”と言う有難いコメントを頂いた。
この場を借りて、感謝を申し上げます。
この映画サイトは、一時期酷い誹謗中傷に満ちたコメントに溢れていましたが、元の健全な映画情報を教えて頂く場に戻ってきた事をとても、嬉しく思います。