冬のライオンのレビュー・感想・評価
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観終わって残る印象は、「バージニアウルフなんか怖くない」と似たものがあります
もともとブロードウェイの演劇
それを映画にしたもの
だからかなり舞台劇ぽいです
しかしセットや野外ロケは映画らしくなっています
時は1183年のクリスマス
場所はフランスはパリの南西250キロのシノン城
お話はプランタジネット朝イングランド王国の初代国王ヘンリー2世とその王妃エレノアが、二人の3人の王子、愛妾アレース、フランス王フィリップを駒にして繰り広げるチェスのような権謀術数、裏の裏の裏を読みあう物語
当時のイングランドはヘンリー2世によって、イングランドのみならず、アイルランドの一部、そしてピレネー山脈に至る南フランスに広大な領土を獲得しており、後世に「アンジュー帝国」と呼ばれる時代
そう言った歴史を頭に入れてみると、興味を維持できると思います
これからどうなるのか?、三人の王子の誰が王位を継ぐのか?
それはまた歴史の本を読み返す楽しみにしましょう
本作はその歴史を背景に、ヘンリー2世と王妃エレノアとの夫婦の物語です
観終わって残る印象は、「バージニアウルフなんか怖くない」と似たものがあります
ピーター・オトゥールは、アラビアのロレンスやおしゃれ泥棒の時のようなスマートさはなく、正にヘンリー2世の姿として伝えられる猪首、大腹の姿になっています
熱演です
そしてエレノア王妃のキャサリン・ヘプバーンが彼に負けない名演技を見せて、正に名演合戦と化します
夫婦のなれの果て、行き着く先はこれかと、これから結婚しようという若い人には夢も希望もないテーマですが、結婚も長くなった方ならリアリティがありすぎて、身につまされることでしょう
俳優たちの迫力
歴史の一幕と意識してみるのも面白い。
俳優の、どの人をとっても見事なセリフと表情に圧倒される。
ただ、英語のライムや、言い回しの妙がわからないのが、悲しいかな、この映画の良さをわかりきれないところ。元来、日本語でも言葉遊びはあまり味わえないので、母語だったとしても堪能できたかは、疑問だけど。
それと、当時の宮殿や王の居室などが、どこまで歴史考証されているのかわからないが、素朴で、興味深くみた。
科白の洪水で動きのない舞台劇
総合50点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:40点|ビジュアル:60点|音楽:70点 )
一つの城の中で王家の一家がその他少数と王位や領土や権力をひたすら言い争う話で、映画としての動きが殆どない。調べてみると元々が舞台劇の映画化らしく、それも当然か。感情を表すのも状況を説明するのも科白を言い続けることで進む物語はまるで言葉の洪水で、台本はさぞかし分厚かったことだろう。舞台劇が好きな人にはこういうのもいいだろうが、映画としての面白みには欠ける。賞もいくつかとった作品ということだが、見どころはその後有名になった若手俳優たちと実力派女優による長科白をやたらたくさん覚えた出演者の演技力くらいで、作品自体は特に面白くもない。いくら基が舞台でも、映画化するからには映画としての良さを生かす躍動感のある演出をするべきだと思うが、そのあたりの工夫が見られない。「クレオパトラ」も似たような作品で退屈だったが、少しは映画としての見せ場も作った。本作品は最初からそのようなことをする気すらもないようだ。
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