「戦争が踏みにじる純朴なもの」ふたりの女(1960) あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争が踏みにじる純朴なもの
ヴィットリオ・デ・シーカ監督 1960/イタリア
ソフィア・ローレンの、美しさと迫力のある演技がよい。田舎の田園風景の中で逞しく映し出される彼女は、また一段と魅力的で、果実のように豊かで伸びやかな美しさは、自然の恵みだなぁと思わせられる。
題名の「ふたりの女」に違和感を感じたので、ちょっと調べてみた。原題はイタリアの地方名のようだ。ストンときた。12歳の純朴な少女は、安易に「女」と呼びたくないし、田舎の村で暮らす純朴な人びとはこの映画の大きな魅力だと思うからだ。
(ジャン・ポール・ベルモンドも、ばっちりハマり役で、素朴なよい味だ)
観ていて面白かったのは、ドイツ兵が疎まれ、米兵が歓迎されていたこと。当たり前だが、それぞれのお国事情だ。
ありがちなストーリーなのは少し残念だが、人間らしい幸福を得ようとするささやかな営みが、戦争や国家体制のせいで、虫けらのように無残に踏みつけられていく、その無念さはよく伝わる。チェジーラの美しさや村人たちの純朴さが対比的に浮かび上がる。
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