袋小路のレビュー・感想・評価
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ベルリン映画祭の審査員は何を評価したのか?
ポランスキー監督は第一作目の
「水の中のナイフ」の主人公たちに比べて、
次作の「反撥」やこの「袋小路」で、
どうして異常人格的人物を主人公に
選び始めたのだろうか。
「反撥」に引き続き、
この作品でも、説明もなく、
いきなりの異常人格者の登場だ。
犯罪者は、夫婦が自分への反撃や逮捕に
繋がるかも知れない動きに全く無頓着。
夫は、幾らでもある犯罪者への
反撃のチャンスを選ぶ素振りさえない。
若妻は、怖い素振りも見せず、
何故が馴れ馴れしく犯罪者に近づく。
3人全てが異常だ。
あるいは、これはコメディ?
ポランスキーにコメディの才能が無いのは
「吸血鬼」で証明済だが。
笑えないコメディではないのなら、
3人の異常性について、
他の描写を省いてでも、
その原因を描かないと話に説得力がない。
ベルリン映画祭では、
「反撥」が銀熊賞、「袋小路」が金熊賞、
と高い評価を受けているが、
少なくともこれらの作品が
「ローズマリーの赤ちゃん」や
「戦場のピアニスト」を上廻ると
評価する向きは少ないのではないだろうか。
この映画祭が、
カンヌやベネチアに比べて影が薄いのは、
審査の観点が2つの映画祭に比較して、
少し偏向し過ぎているためではないかと
勝手に想像するのだが。
薄情な女
状況次第で臨機応変な振る舞いを、男に擦り寄る娼婦のような奥さんは、子供にまでまんまツッ込まれる。
サスペンス要素は皆無なコメディ路線まっしぐらで、人間の心理描写はグラグラに緊張感の欠片もない。
初期のロマン・ポランスキーの三作品を通して、女性に対する描き方が偏っているような、彼が犯した事件に納得してしまう変態さが滲み出ている雰囲気がプンプンする!?
カニ
序盤がとにかく引き込まれる映像。島の海岸近く、故障した車を押す男リチャード(スタンザー)。腕は怪我しているようで、車の中にはもう一人のメガネの男。そしてリチャードはへとへとになり、民家に食べ物を求めるのだ。カニがなぜか印象的。
古城のような家には若い妻とスキンヘッドのプレザンス。しかも変態チックに幼児プレイをしているのだ。そこで勝手に電話を借りていたリチャードと遭遇する。強盗がたまたまやってきたというシチュエーション。 白黒のため風光明媚な舞台も冷たい印象がある。そして鶏小屋。カラーで映すと違った印象になるのだろうけど・・・
心理描写が面白く、『水の中のナイフ』とは違い、主人のプレザンスが弱々しいところがいい。相棒の男が死んで、穴を掘るところ。妻の客人がやってきてしまい、リチャードが執事の振りをさせられるとか、3人の心理的優劣が変化する。
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