「I was running. 走って走って」フォレスト・ガンプ 一期一会 アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
I was running. 走って走って
90年代の名作の4Kニューマスターを映画館で鑑賞しました。やー、良かったです。子供の頃に観ていたんですが、大人になって色々と知識が付いてから観るとまた違ったもんですよね。ジェニーのDV家庭だったこととか、ベトナム戦争とか、ウォーターゲート事件とか子供の頃じゃ全くわかってなかったですし。アメリカの歴史をなぞっているので多分アメリカ人ならもっと楽しめる作品なのでしょう。
フォレストのIQ75ってのが意外といい塩梅だったんですね。コミュニケーションが取れないほどではなく、いくつになっても純粋でまっすぐで、ジェニーを一途に想い続けれた事にも説得力を感じますよね。トム・ハンクスのアカデミー賞受賞も納得の演技でした。
フォレストを中心に物語は進んで行きますが、もう一人の主人公は間違いなくジェニーでしょう。フォレストとジェニーは見事に対比してあるんですよね。ちょっと頭が足りなくても母親の愛情をしっかり受けて育ったフォレストと父親からDVを受けていたジェニー。どちらも一人親なのですが、全くの逆で。DVの父親だったせいか彼氏もいつもDV男を選んでしまうジェニーが切ない。
ジェニーって言うなればパリピで当時の時代の最先端だったわけですよね。アメリカの暗部っぽい描かれ方ですけど、あの当時ってあれがブームだったわけで。きっと日本でもあんな格好して「ラブ&ピース」って叫んでいた人も多いのではなかろうかと。今観ると残念ですが、あの当時はそれがリア充な生活だったでしょうし、ロバート・ゼメキスってパリピの仲間に入りたくても入れなかったのであのように嫌な感じの描き方をしてるのかなっと勘ぐってしまいます。
結局ジェニーは若い頃の無茶がたたってエイズになってしまうのですが、最期にフォレストと結ばれたのはもう一人の主人公ジェニーの救済の側面もあるのではないでしょうか?フォレストにも大事な人が亡くなっても子供がいますし。ジェニーは最期にフォレストに宝物を残していったのかなっと。そしてラストのフォレストがジェニーのお墓に語りかけるシーンはグッときます。
子供の頃に観た時ってフォレスト側の視点でしか観てなかったのでジェニーにはムカついて仕方なかった覚えがあるのですが、自分もいい歳になって観るとジェニーの事もわからなくはないというか。フォレストに席をゆずる心優しい子供だったのに環境によって堕ちていってしまう人間性とか。良い悪いは別にして、ちゃんと人間を描けていたんだなっと。
本作を観たのはン十年ぶりだったのですが、歳を取ると見方も変わってくるもんですね。子供の頃に観てても何となく心に残る作品だったので、90年代を代表する名作の1つだと改めて思いました。