「お前はまっすぐ伸びたか?」フォレスト・ガンプ 一期一会 marさんの映画レビュー(感想・評価)
お前はまっすぐ伸びたか?
たしか中学生の頃にはじめて見て、いたく感動した記憶がある。
あれからおよそ20年経って、今の自分は何を感じるのか興味があって見てみた。
結果は、非常にモヤモヤした感情が残ってしまった。
確かにある種の感動があることは認めるにしても、
「感動ポルノか?」と「ジェニーの行動」が気になって仕方なかった。
本作の語り口は、フォレストの姿を通してみたアメリカの(負の)歴史。
まずアメリカ人でもリアルタイムでもない自分はここに対して何の感慨も無いわけで、
それで「いろいろ大変だったけど誠実に生きることが幸せだよね」みたいなことを言われても。
さらにそれを言いたいがために主人公の設定を知的障害にする必要あるか?と。
まぁね、20年以上前の作品に言うことじゃないとは思うんだけど
なんか勲章もらって、経済的にも大成功してっていう
古いステレオタイプな”しあわせ”に帰結するところに深みは感じなかった。
そして「ジェニーの行動」はたしか昔みたときも腹が立ったような記憶がある。
あの展開で「あなたの子です」とか言われても信用できねえよっていう。
さらに明言されてないけど、ウイルス性で致死的な病気っていったらHIVでしょうと。
んじゃあれじゃん、フォレストも感染してるかもじゃんと。
辛い幼少期を過ごした女性だし、フォレストにとっては恩人でもある。
必要以上に純粋なフォレストにとってはあれで良かったにしても、
これってかなり迷惑な女じゃないですか?っていうね。
フォレストが良いって言っても俺は許さねえぞっていうね。
良い作品だと思うし、感動作でもあると思う。
だけど世間で言われるような”不朽の名作”か?って言ったら決してそうじゃない。
なんか文句みたいになっちゃったけど、もうこれは愛着の裏返しみたいなもんでして、
こう久しぶりに見ると終盤の、あのギプスをはめた医者のセリフが
「んで、お前はまっすぐ伸びたのか?」に聞こえちゃうっていうね。
いやほんと、映画ってどんな部分が心に響いてくるかわかんねえなって思いますよ。