「こんな人にお勧めです。 ・幸せな気持ちになれる映画を観たい人。 ・とにかく笑いたい人。 ・音楽が最高の映画。」フォレスト・ガンプ 一期一会 tricoさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな人にお勧めです。 ・幸せな気持ちになれる映画を観たい人。 ・とにかく笑いたい人。 ・音楽が最高の映画。
20年ほど前に観て、久しぶりの鑑賞でした。
話としては生まれつき知的障害のあるフォレストと幼馴染のジェニーの恋物語です。
とは言っても、ジェニーからすればフォレストを大切に思う事と恋愛としてフォレストと一緒になれるか?という事は全く別物で、いかにしてその大きな壁を越えられるか?というのがストーリーの軸になります。
観ている側としては、フォレストの一途で、純粋で、不器用な思いに感化され、フォレストが傷付けば同じく傷付き、そして喜びは大きく喜び、それは何度も何度も繰り返され、いったい2時間半の映画の中でどれだけこれを繰り返すんだろう?とフォレスト愛が限界に近付いた所で現代に戻ります。
そして遂に最後のジェニーとの再会へ。
今度こそと張りつめた思いで、拳を握りしめて見守っていると、妙にあか抜けたジェニーの部屋の装飾に不安を感じ始める。
もしかして、ジェニー、また新しい男を。。。
と、不安がピークになった所で、誰だ!子供!!
一気に絶望に落とされました。
フォレストを直視できない程のショック。。。
しかし、ここで更に衝撃的な事実が。
「僕の子供?」
!(^^)! !!!!!
このジェットコースター展開、物凄い破壊力でした。
と言うか、20年前に観ているのにすっかり忘れていました。
そうそう、ここでオスメント坊やが出てくるんだった!
しかし胸をなでおろしたのも束の間、今度はジェニーが。。。
でも、ジェニーに関しては本当に残念ではありますが、ついにフォレストとジェニーが結ばれたというのは、2時間半をフォレストへの応援に費やしたことへのご褒美のような幸せな結末でした
やっぱり映画ってこういった幸せを疑似体験できるっていうのも醍醐味ですね。
映画に関してですが、あくまで軸はフォレストとジェニーの恋物語ですが、60年代、70年代のアメリカを背景にしていることもあり、その時代の空気感を上手く再現しながら、アメリカの抱える多くの問題も絡みつつ進みます。
人種差別、銃社会、ヒッピー、コカイン、ロック、特にベトナム戦争の後遺症として身体の損傷やPTSDが描かれるのは、この時代を扱う映画の宿命のように感じます。
ストーリーはフォレストの恋と人生にこれらを絡ませ、テンポよく、笑いも混ぜ、皮肉も混ぜ、全く飽きさせることなく進んでいきます。
その一方でどんどん荒んでいくジェニーの姿には心が痛みます。
ジェニーはフォークシンガーを目指していたはずなのに、ストリップ小屋で裸でギターを弾くジェニーと再会するフォレストのショックと言ったら。。。
また物語の語り部はフォレストで、バス停で彼の人生を振り返りつつ、入れ代わり立ち代わり聞き手が変化していく軽妙な展開。
時折現代に戻りつつ、聞き手の興奮や合いの手や茶々入れでストーリーのワンクッション的な流れを生み出すなど、やっぱりハリウッドの映画って良く練られた脚本なんだな。と感心してみていました。
フォレストの語りを直接聞いているような1人称で進んでいくストーリーですが、徐々に湧いてくるフォレストへの愛情というのが大きな意味を持つ映画かと思います。
知的障害という要素が彼自身の人格にどういった影響を与えているか?というのは、分析するにはデリケートな問題ではあるのですが、彼自身から感じる人格としては、
・素直である事、
・嘘をつかない事、
・信用した相手には絶対の信頼を持つ事、
・感情の起伏は大きくないがジェニーに関することへは制御が出来なくなる事、
なんと言うか、知能という問題とは別に人格として上のような特徴のある人。という気はするのですが、少し極端な性格故になかなか受け入れてくれる人は少ないです。
ただ、映画の受け手を含め、彼を応援してしまう一番の美徳は、「信用した相手には絶対の信頼を持つ事」かと思います。
ジェニーにしても、ダン中尉にしても、彼を受け入れてくれる時間が長かったとは言え、彼を遠ざけ、蔑むことも多かったです。
それでもフォレストは彼らを裏切らず、打算や思い込みのない素直な目線で彼らの本当の心を信じ続けていました。
正直、彼が周りから冷たい仕打ちを受け、ジェニーやダン中尉から冷たくされる度に、人間は優しいのか、冷たいのか判らなくなりますが、フォレストの目線は常に彼らへの信用を語ります。
フォレストにとって他人という物は、人は本当は優しい。という感覚なんだろうな。と思いました。
実際にフォレストと接して、フォレストの一途な思いで優しさを取り戻していく人々。
いいな、映画ってやっぱり。
最後に、ストーリーとも関わりますが、アメリカの大きさに圧倒される映画でした。
美しく雄大な自然であったり、ハリウッドの映画作りの実力であったり、歴史であったり、役者の存在感であったり。
日本でも同じような展開の映画は作れそうですが小品として扱われる映画になるんだろうな。と思いながら、ハリウッド映画の本気の凄さを感じた気がする映画でした。
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