劇場公開日 1993年7月24日

「社会の落伍者の怒り」フォーリング・ダウン 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0社会の落伍者の怒り

2025年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 最初、D=フェンスの行動がただの頭のおかしい人に見えた。定年退職となる警察官のプレンダーガストが署内で不遇な設定も意味が分からなかった。だが、ストーリーの進行につれて徐々に判明してくる。アメリカの格差社会を描いた作品なのかと。だがもっと幅広く、社会の落伍者の怒りをテーマにしているのだろう。アメリカの様に競争社会が過激になると、いわゆる無敵の人が増えていく。それがD=フェンスの行動として表れている。プレンダーガストも落伍者だが、彼の活躍が描かれるのは、それでも現状の人生を受け入れて前向きにやるべきことをやっていくしかないという映画のメッセージと解釈した。

 『タクシー・ドライバー』『ジョーカー』の類型のストーリーだが、それらの作品よりももっと直接的に暴力でテーマを表現している点は痛快だった。でも、あれだけD=フェンスが堂々と暴れまわっていても中々捜査が進展しないのは、少しご都合主義的な印象を受けた。

根岸 圭一
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