劇場公開日 1987年3月14日

「アメリカらしい良い意味で馬鹿馬鹿しく愉快な演出で名作となった」フェリスはある朝突然に Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメリカらしい良い意味で馬鹿馬鹿しく愉快な演出で名作となった

2020年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

総合:80点 ( ストーリー:60点|キャスト:80点|演出:85点|ビジュアル:70点|音楽:80点 )

 何をやっても上手くこなす人気者の高校生フェリスが恋人と親友と一緒に学校を1日サボり普段と全く違うことをする。たったこれだけのことを面白い娯楽として完成させた。

 フェリスの行動が面白いし楽しい。作品中の彼は何もかもが上手くいく星の下に生まれているようだ。彼のやること為すこと全てが型破りで、機転の速さと行動力と何よりも強い精神力で怖いもの知らずに突き進む。彼には人を巻き込み動かす力がある。実際にはかなり無茶なことや悪いこともしているし、それ故に敵も作っているのだが、それでも最後には持って生まれた星のためか何とかなってしまう。
 そしてこの作品を面白くしているのが独特の演出で、特に馬鹿げた仕掛け・悪だくみ・フェリスの咄嗟の判断と行動に加えて、校長・駐車場係といった脇役までが面白いし笑えた。最初から最後までたくさんのことが起きて飽きることなく続いていく。ジョン・ヒューズ監督のそれまでの作品『ときめきサイエンス』『すてきな片想い』の演出は悪い意味で馬鹿らしさとくだらなさ・幼稚さが強すぎて好きではなかったのだが、本作品から急激かつ段違いに水準が高くなって一皮剥けた。『アメリ』はフランスらしいお洒落な演出が素晴らしかったが、本作はアメリカらしい馬鹿げた演出が非常に良い出来だった。それがその後の『ホームアローン』に繋がっている。
 また音楽が楽しくて良かった。休日の過ごし方は『ローマの休日』のごとく、シカゴの観光にもなっている。

 IMDbによると、作品中で登場したフェラーリ250カリフォルニアはMGベースで作成された複製品だそうだ。本物の1台は2015年の競売で18.5百万ドル(約20億円)で落札されており、作品中で壊されたものは言うまでもなく、走行中の場面でも本物を登場させる予算はなかったらしい。しかしMGでも十分名車でもったいない。
 ちなみに車庫の中でエンジンをかけているとあっという間に一酸化炭素中毒で死ぬので、良い子のみんなは真似をしない方がいいでしょう。

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Cape God