「寂しいパチーノ」フェイク 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
寂しいパチーノ
M・コルレオーネにT・モンタナとC・ブリガンテ様々なギャングを演じたA・パチーノがうだつの上がらない情けないギャングを演じた本作。
寂しい表情を浮かべるパチーノが印象的で船のシーンとラストの騙されている事にも気付かないでドニーを守ろうとする健気さに、引き出しに遺品になってしまう私物を収める姿に哀愁が漂う。
実話を描いた本作だがハラハラ、ドキドキとバレそうでバレないスリル感は全体的に希薄でJ・デップの家庭内での描写はメロドラマな雰囲気で演出自体に甘さがあるような。
M・マドセンの地味ながら目立つ存在感に渋い演技も良い。
今までの役柄どれにも当て嵌まらない情けなくて滑稽で寂しさが溢れるレフティを静かに演じ切ったA・パチーノが素晴らしくてオスカー候補に値する。
キッチンで火が上がって奥さんに消させる滑稽なシーンも堪らない。
日乃出会館内劇場にて鑑賞。
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