「でとろいと刑事、アクセル掛からず…」ビバリーヒルズ・コップ3 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
でとろいと刑事、アクセル掛からず…
30年ぶりとなる最新作配信前に、シリーズ再見。
公開時、劇場で観た。唯一のシリーズ劇場鑑賞。
確か親に連れられ、アメリカで人気の映画らしいが、『ゴジラ』や『ドラえもん』や『ドラゴンボール』の映画しか見てなかったまだガキんちょだったあの頃、面白さが分からず…。
って言うか、今見ても…?
車の盗難・違法改造のヤマを追っていたアクセル。
踏み込むと別の犯罪グループがいて、銃撃戦でトッド警部が撃たれ殉職してしまう。
上司の仇を追おうとするが、その犯罪グループはFBIも追っていて、捜査を阻止させられる。
それで諦めるアクセルじゃない。遺留品がビバリーヒルズにあるテーマパーク“ワンダー・ワールド”の物と知り、三度赴く。
この時人気が低迷していたとは言え、エディ・マーフィのマシンガン・トークとアクセル全開捜査。
ストーリーも設定もお馴染み。
変わらぬ筈なのに、前2作と比べ面白さやトーンやクオリティーダウン。
その幾つかの要因は明らか。
ビリーは皆勤賞で昇進。やたらと長い役職。
が、タガートは退職。ボゴミルは何処へ…? トッドは死ぬ必要あったのか…?
レギュラーメンバーとのやり取りも魅力だったのに…。
レギュラーと言えばドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマーのPコンビとテーマ曲は使われるが音楽のハロルド・フォルターメイヤーも外れた。
何だかこれで随分寂しくなっちゃった…。
今回の舞台は豪華テーマパーク。たくさんのアトラクションがあって、人気のマスコットキャラがいて、子供も大人も楽しんで、あの“夢の国”みたい…?
エディの人気低迷のテコ入れの為、子供ウケを狙ったのか…? 確かにこの後エディはファミリー向けコメディへの出演が多くなる。
アクセルが故障したアトラクションから子供を救うヒーロー的見せ場を設ける一方、これまでの機転や協力捜査は影を潜め、すぐドンパチドンパチ。
子供ウケか、従来のファン向けか、ターゲットが定まらず。
『007』みたいなヘンテコ兵器が出てきたり、『オースティン・パワーズ』みたいな安っぽい地下秘密基地があったり、何からしくない。
ビバリーヒルズならではのクールで洒落た雰囲気が良かった。
アクションも単調。
監督のジョン・ランディスはエディと『大逆転』『星の王子ニューヨークへ行く』で組んでいるが、『1』のマーティン・ブレストのような手際の良さ、『2』のトニー・スコットのようなアクション・センスに欠けた。
トッドを殺した敵は世間では警備会社責任者として表彰されるほど。尻尾を出さず、憎々しく、手強い。
実はFBIも…。
さすがのアクセルもピンチ。孤立無援で、パーク経営者銃撃の犯人にも仕立て上げられる。
が、持ち前の度胸と正義感で万事解決に導く。
びっくりの豪華カメオ出演者。まさかのルーカス卿!
テーマパーク舞台を活かしたクライマックス戦などそれなりに面白さはあるが、先述通りの理由で、やはり前2作に及ばない。
何か『ビバリーヒルズ・コップ』のようで、精彩に欠けたエディが『ビバリーヒルズ・コップ』のパロディやってるようで…。
エディ自身も後に不満を…。
その後エディも紆余曲折あり(ヒット作に恵まれたり、大コケしたり、オスカーにノミネートされたり、ラジー賞を受賞したり)、アクセルもこのまま引退…?
いやいや。最近になってエディのキャリアも再び上向きとなり、そこへ、30年ぶりのアクセル・カムバック!